検索窓
今日:17 hit、昨日:0 hit、合計:109,893 hit

第四十二話 ページ44




「そう。失敗した、ねぇ」

『はい…………誠に申し訳ございません。全て、私の責にございます』





オレンジの机上灯が首領の顔の下半分のみを照らしていた。


”目は口ほどに物を言う”という言葉がある。その”目”が見えない状況は、いつも多くの情報を目から得る私にとってとても不安なものだ。

きっと彼はそれをわざとやっている。

だから余計に不安なのだ。
彼に嫌われていないか。私はまだ必要な存在であれているのか。

灯りひとつで、情報が圧倒的に不足する。






「気を落とすことはない。君達は()く頑張ったよ。
確かに探偵社の襲撃に失敗し、人虎の捕獲を(あやま)り、輸送船を積荷ごと沈めたけど
頑張ったから良いじゃあないか」






声が、ねっとりとまとわりつく。






「頑張りが大事。結果は二の次だ。
そうだろう?」







首領からの、最大限の嫌味。

合理と論理の権化(ごんげ)たる首領が、普通に「結果が二の次」などと云う筈がないのだから。









どんな処罰でも受ける覚悟はできている。


命をもって償えと云われれば、迷わずそうする自信はある。


だが、”捨てられる”事が一番恐ろしいのだ。
お前は不要だ、と。
何の感情も灯さぬ瞳で見つめられ、云われるのではないか。

それがただ、ただ、恐ろしい。









少しでも情報が得たくて。
首領の心の内を知りたくて目を凝らすが、やはり目元は影になっていて。


何も、見ることは叶わなかった。









見えるのは、灯りに浮かび上がった、弧を描く口元だけ。

第四十三話→←第四十一話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
100人がお気に入り
設定タグ:文スト , ポートマフィア , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:安蒜 佑 | 作成日時:2020年3月11日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。