壊れた獣の行く末は壱【文スト】 (ページ5)

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第三話ページ5

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『それは、要するに、私が探さなければいけない程の人物なのですね？』

「その通り。五大幹部、朱殷(しゅあん)Aが探さなければいけない程の人物だ」

ほう。首領がそこまで言うほどの…

『それで、相手は誰でしょう？』

「人虎(じんこ)だよ」

『人虎…………なるほど、異能力者ですか』

「君は話が早くて本当に助かるよ。そう。その人虎に闇市で懸賞金がかかっている」

『いくらです？』

「七十億だよ」

『なんと、まぁ、景気のいいことですね』

たかが1人の異能力者に七十億など。金はある所にはあるのだなぁとつくづく思う。
だが、なるほど。
それ程の値がついた人虎を捕まえれば、七十億がポートマフィアの元に入るのだ。五大幹部の一人や二人、動かしたくもなるだろう。

『了解しました。それで、私が直接行った方がいいでしょうか？それとも指揮を？』

「今回は指揮を頼むよ。そろそろ計画を立てるのにも慣れて貰わないとね」

『分かりました。……遊撃隊をお借りしてもよろしいでしょうか？』

「いいよ。芥川君には私から連絡しておこう。今、ちょっと交番にお出掛けしてるからね」

『お願いします。要件は以上ですか？』

「うん。じゃあ、頼んだよ」

『御意』

慇懃に礼をして、首領の執務室を出る。

「七十億の人虎を捕らえよ」

その命令を遂行する為に計画を立てなければならない。
熟考する為に、自分の執務室へと向かう。
幸い、今抱えている案件に私にしかできないものや、難しいもの、大きなものはない。部下に任せてもいいだろう。

この後、私に見せる為にわざわざ着替えて下さったエリス嬢が、私が首領の執務室にいなかったことを怒るのは、また別のお話。