第三十三話 ページ35
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ちょっとした
人虎捕獲の最終段階にある今、太宰治がいつ逃げるか分からないからだ。
逃げられる前に幾つか聞いておきたい事がある。
逃げるのはその後にして欲しい。
太宰治がポートマフィアを抜けてから、初めて我らに捕まった。
それは、彼に一度しか使えない切り札を使わせる機会。
そして、それを使ってまで欲しい情報は此方が持っている。
ここで聞きたい事を聞いておかなければ、二度と次が訪れない可能性は高い。
聞きたい事を聞く対価であり、彼が欲しがっているであろう情報を手に持って、地下に向かう。
彼がわざわざポートマフィアに捕まってまで得たかった情報だ。恐らく、乗ってくれるはず。
頭の切れる彼相手では、いくらか情報を持っていかれるかもしれないが、そこは気をつけるしかない。
そんなことを思いながらドアノブに手をかける。
「相変わらず悪巧みかァ、太宰!」
開ける前に、なつかしい、半年ぶりに聞く声がした。
声の主の名は、中原中也。
私を、拾った人。
マフィア幹部
中原中也───
能力名
〖汚れつちまつた悲しみに〗
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作者名:安蒜 佑 | 作成日時:2020年3月11日 22時