第二十三話 ページ25
泉鏡花side
私自身に巻き付けた爆弾から、ピッ、と無機質な音が鳴る。
なんで?
停止ボタンを押したのに。
その時、携帯から声がする。
<…………それを押したのか、鏡花>
ビィイイイィイィイイイッ
けたたましく、警告音が鳴り響く。
<解除など不要。乗客を道連れにし、マフィアへの畏怖を俗衆に示せ>
ビーーッ、ビーーッ、ビーーッ、と警告音は鳴り響く。
あと、数秒で爆発する。
また、私のせいで人が死ぬ。
……………そんなの、嫌だ。
「爆弾を外せ!」と彼が叫ぶ。
でも、それじゃあ
「間に合わない」
ドンッと彼を突き飛ばした。
夜叉が斬ったドアへと向かう。
不意に、先程、彼が言った言葉が脳裏をよぎった。
「望みがあるなら、言葉にしなきゃ駄目だ」
そう彼は言った。
振り返って、彼の目を見つめる。
「私は鏡花。35人殺した」
私の、望みは
「もうこれ以上一人だって殺したくない」
トン、と電車の縁を蹴って。
私は外に身を投げ出した。
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作者名:安蒜 佑 | 作成日時:2020年3月11日 22時