施設の記憶3 ページ45
─｢ここに居る子は皆一度は死を選んだ子達なんだ｣
警戒するAに施設長の世実がそう告げた。
｢表面だけでは見えない心を私の個性で見る事が出来る、私はこの個性で皆を救いたいんだよ｣
慈愛と言う言葉の似合う穏やかで人間離れした美しい彼はゆっくりとAに歩み寄る。
｢君の心は今傷付き壊れかけている｣
『善人ぶるな！見るなっ！』
誰も信用出来ない、もう疲れた。
皆自分を愛してはくれなかった、必要としてはくれなかった。
赤の他人は勿論、クラスメイトも、親戚も父も母も、兄さえも。
自分の汚く惨めな心を見られる恐怖にAはきっと睨みつけ近くにあった本を投げつけたが、世実は防ぎもせず本が額に当たる。
『っ･･･!?』
額から血が頬に伝い、Aは驚愕し戸惑いで動けなくなると目の前で世実が膝をつく。
｢君の事は前から知っていた、助けて上げられなくてごめん、傲慢かもしれない、遅いかもしれない、けど私は君の力になりたいんだ｣
ひたすらに優しく慈愛の満ちた表情でAの手を両手で包み込む。
怪我を負わされてなお優しく包み込むその手に心が揺らいだ。
他人にここまで優しくされた事が無かった。
皆自分をゴミを見るような目で嘲り、利用しようとする者しか会ったことが無かったから。
｢これからはここが君の居場所だ、もう我慢しなくていい、笑いたければ笑い泣きたければ泣いていいんだ維応君｣
そんなに自分は人の温もりに飢えて居たのだろうか？
自分がこんなにちょろい事に笑えてくる。
心を見られる恐怖が薄れ涙が一雫流れ、先程まで死を望んでいたのにもう少しここに居ても良いかもしれないと思ってしまった。
─それからAは部屋を与えられ、同室になった反月菜乃と話すと施設を見て回る。
すると何処からか子供の笑い声が聞こえたかと思うと足元に何かが転がってきた。
野球ボールぐらい大きさの赤いボールが。
｢あーー!!知らない人がいるーー!!｣
Aがそれを拾うと元気な声が響く。
見ると6歳ぐらいの女の子と男の子2人がいた。
女の子は両腕が無かった。
｢菜乃お姉ちゃん誰!?その人誰!?｣
｢新しく入った人で維応Aさんだよ｣
子供に期待の眼差しを向けられ渋々口を開く。
『･･･よろしく』
｢よろしくAお姉ちゃん!!
｢くぅー｣
｢この子は
ぱっと花が咲くように笑う女の子、未来と上手く話せないのかそう口にしておっとり笑う小柄の男の子、魄。
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アマドコロ(プロフ) - 46さん» コメありがとうございます！そう言ってくれると凄く嬉しいです！頑張りますっヽ(；▽；)ノ (2019年12月29日 8時) (
レス) id: b3afbd7d01 (このIDを非表示/違反報告)
46(プロフ) - いつも楽しませてもらってます！イラスト見ました！アマドコロさんが描くミニキャラ個人的に大好きです！色の塗りかたとかも、凄いです！イラストの方も、小説の方も、頑張ってください(*´ω｀*) (2019年12月29日 0時) (レス) id: 06efcbf80c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アマドコロ | 作成日時：2019年10月31日 19時
