猿芝居 (ページ11)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:2,194 hit

+▽ ページ11

「銀腕は入れ替わりが激しい！つまり我々の仕事は、代わりがいなければ成り立たない訳で……これを良い意味でとるか、悪い意味でとるかは君次第。だがそれを踏まえて、あえて一つ言おうか。＿＿＿君の代わりはいくらでもいるぞ」

「正直者は馬鹿を見る。そんな世の中に一体何の問題があるっていうんだ？妥当じゃないか！正直であることは美徳なんかじゃあないんだから」

「そうだな、さっきのはただの脅しだった。＿＿が、今回もそうとは限らないよな」

「人間なんて、どうでもよくないか。どうなんだ。俺はそう思うんだが」

「自分が何者かの手によって全てを奪われた時。それを、必要な犠牲だったと言い表されることと、別に無くてもいい犠牲だったと告げられること。そのどちらが〝マシ〟か。……これは、そういう話だろ？」

「…………まったく、不毛にも程があるなあ……」

「お疲れ様。これは餞別だ。最期くらいは、良い夢を」

「俺は〝犠牲〟という言葉が好きじゃない。だが……。……〝必要な犠牲〟という言葉は、なんっ……て優しい言葉なんだろう、と。そう思うよ」

「他人の人生を第三者が勝手に本に書き記すという行為を、俺は、最上の冒涜だと考える」

「順番。順番だ。ああ、従おう。だが次の番は＿＿俺たちだ」

「この立ち位置が決まった時から……いや、それよりもっと前から。この先数十年間、働き詰めになることくらいわかりきってた。そうでもしなければ、俺の目的は達成出来ない。俺は、ずっと昔に覚悟を決めている」

「ともすれば、君は夢を見ていたのかもしれないな。もしくは………＿＿化かされていたのかも」