【サーヴァンプ】うちの椿さんが小さな女の子を連れて来たんだが、どうすればいいだろうか ぱーと２ｯ!!【憂鬱組】

これからも、ずっと ページ7

『ねぇ、つばき』

｢なんだい?A｣

椿に手を引かれながら、帰路に着く
今日は、新しいことが色々とあって少し疲れた


―――初めて食べた真昼のおやつはとても美味しかったし、クロは凄くゲームが上手だと分かった(桜哉より上手いかもしれない)

御園はベルキアにそっくり(ツンデレなところが)だったし、リリイはとても優しかった


けれど一つだけ残念だったのは、"それでも彼らは椿と不仲である"と言う事だった

Aが見た限り、彼らが敵同士であることなど、分からないくらい


あの時の時間は穏やかで、楽しいものだったというのに。



―――それでも、御園が一瞬だけ椿に向けた"敵意"のようなピリピリしたものを、Aは感じてしまったのだ。



『あのね、A……きょうはとってもたのしかったｯ!!』

｢……そっか、それはよかったね｣

Aの言葉に、椿は少しだけ困ったように笑った気がした



―――Aには、その時の椿の複雑な心境など知る由もない


……椿はあくまで、彼らとは敵対しているのだ。

Aが来てからというもの、たまに忘れてしまいそうになる。


自分の"本来の目的"と、"人間は吸血鬼にとってはただの餌に過ぎない存在"だということを……



『でもね、Aひとつわかったことがあるのｯ!!』

｢……分かったこと?｣


その言葉に椿が首を小さく傾げると、Aは『うんｯ!』と元気良く頷いた


『―――あのね、



Aはやっぱり、つばきたちといっしょにいるほうが、いちばんたのしいのｯ!!』

そう言ってニコッと笑うAに、椿は目を見開いた


『やっぱり、"かぞく"がいちばんなのｯ』

顔を綻ばせて、まるで〈物凄い発見をした〉とでも言うように。


―――嗚呼、


……やっぱり、彼女は自分にとって特別な存在なんだ。


だって、家族なんだから。



｢……そうだね。

僕も、Aと一緒にいる時間は悪くない気分になれるんだ｣

椿はそう言うと、ひょいとAを抱き上げた。


｢飛ぼうか。

早く帰えろう。今日は、帰ったら何して遊ぼうか?｣

笑ってそう話す椿に、Aは『とぶの?やったぁｯ』と嬉しそうに彼に掴まった


｢しっかり掴まってるんだよ｣


―――そして願わくば、これからも、


『うんｯ』


―――僕の手を離さないでいてほしい。


胸の中でこっそりと、椿はそう願った。



(『ただいま〜ｯ!!』)
(｢おかえり……って、なんで窓から帰ってくるんですか｣)
(｢ふふふ……｣)

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