"これからも愛してもらえるように" ページ36
『ねぇねぇ、にあってる?A、おねーさんにみえる?』
「すっごく可愛いよ。Aは何着ても似合うなぁ」
椿はそう言って、ブレザー姿のAを目を細めて見つめていた。
今日はAが待ちに待っていた入学式の日だ。
『えへへ〜……ありがと、つばきッ』
褒められて恥ずかしかったのか、Aは恥ずかしそうに笑顔を見せた
この日のために用意したおめかし用のブレザーに身を包み、準備は万端だ。
「今日は、僕と桜哉……オトギリで入学式に行くからね」
綺麗にセットしたAの頭を崩さない様に優しく撫でながら、椿は言った。
『ベルたちはこられないの?』
少しションボリと肩を落としたAに、椿は「ごめんね」と眉を下げる
「あんまり大人数で行くと学校に迷惑だって、桜哉が言うから。
でも、ちゃんとビデオ撮影はしてもらうよ」
桜哉に、と言って椿が笑うと、Aもつられて『ふふッ』と笑った
『A、おなまえよばれたらちゃんとおっきいこえでおへんじするから!みててねッ!!』
ぱッと笑顔を見せるAの姿に、「うん」と返事をした椿の心境は複雑なものだった
「……A」
不意に、椿が真剣な表情で彼女を呼ぶ
『なぁに?つばき』
首を傾げたAの肩に手を置いて、椿は視線を合わせるようにしゃがみこんだ
「……一つ約束して欲しいことがあるんだ。
―――周りに決して〈吸血鬼のこと〉を話してはいけないよ」
『どうして?』
椿の言葉に、Aは不安げに問い掛ける。
その事にチクリと心を痛めながらも、「大切なことなんだ」と言い聞かせる
「まだ君には少し難しい理由かもしれない。
でも、これはAの為でもあるんだ。分かってくれる?」
そう言うと、Aは数秒俯いて黙り込んだあと、『……わかった』と頷いてくれた
『でも、Aがおっきくなったら、りゆうおしえてね』
そう言って、にっこり笑った。
―――その胸に、どれほどの不安が隠されているのだろう。
それでも、孤児だった彼女は子供ながらに大人を気遣える〈良い子〉でいようと必死なのだ
…椿たちに愛してもらえるように。
「…ありがとう、A。約束するよ」
小さな身体を抱きしめて、椿は決意した。
〈たとえこの先何が起きても、彼女だけは守り通してみせよう〉と。
「……さぁ、そろそろ出ようか。Aの入学式、僕も楽しみだな」
『……うん!』
元気良く頷いたAの手をしっかりと握って、椿は部屋のドアを開けたのだった
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暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - つばきゅんさん» ありがとうございます(´∀`)恐らく池のコイは養殖されていたんだと思います…… (2016年8月22日 12時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)
つばきゅん - コメント失礼します!350匹っていったあとのベルのツッコミが面白いと思いました!! (2016年8月22日 12時) (レス) id: 619b453f13 (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯(プロフ) - 華南さん» いえいえッ!!コメントをくださった上にそんな風に思ってくださって、逆にありがたいですッ!!(//∇//) (2015年3月12日 20時) (レス) id: 8575e4e560 (このIDを非表示/違反報告)
華南(プロフ) - なんだよ……ただの激カワロリじゃないか……ちょっと椿さん夢主ちゃんについて小一時間語りまs((すいません (2015年3月12日 18時) (レス) id: cbe4b38526 (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯(プロフ) - レナレナさん» ありがとうございます!!ベルは子供とか好きなんだろうか……と考えたらなぜかツンデレにwwwこれからもよろしくお願いします(´▽`*) (2015年3月2日 10時) (レス) id: 8575e4e560 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁 瑠卯 | 作成日時:2015年1月16日 20時