【サーヴァンプ】うちの椿さんが小さな女の子を連れて来たんだが、どうすればいいだろうか ぱーと２ｯ!!【憂鬱組】

将来有望?? ページ19

今日も今日とて、憂鬱組はお膳立てに忙しい

疲れた今の椿には、帰りを待っているAと遊ぶのが唯一の癒しなのだ


｢あ〜……疲れた。


ただいま、A。今日もいい子に―――｣

ガチャリとドアを開けた椿の目に飛び込んできたものは…



『つばきのばかぁあｯ!!』

此方にぬいぐるみを投げつけるAの姿だった



｢……え｣

ぽてり、と床に落ちた黒い狐のぬいぐるみを目にした椿の思考が停止する


何が起きたんだろう?

訳も分からずAに目をやると、なんと彼女の瞳には涙が溜まっていた


｢えぇｯ!?Aｯ……!?｣

慌てて駆け寄るとAは『フンｯ!!』と顔を背けた


―――Aと一緒に留守番をしていた桜哉までもが、驚きで目を見開いていた


『きのうもきょうも、Aをほうってどこのオンナとあそんでたのｯ!!』

顔を真っ赤にしながらポカポカと殴ってくるAから、そんな言葉が聞こえた


｢えぇえぇえｯ!?ちょ、女って!?｣

パニック状態の椿が桜哉を見れば、彼は困惑した表情で｢さ、さぁ…?｣と首を傾げた


とにかく、何故こうなったのか確かめなければ

｢えっと、Aさん?少し僕の話を―――｣

『アナタのはなしなんかききたくないｯ!!』


Aはそう言うとぷくｯと頬を膨らませた

―――あ、可愛い。


まだ余裕が残っていたのか、椿は頭の片隅でそんなことを考えていた


｢って、いやいやそんな事考えてる場合じゃないぞ、僕。

Aｯ!?僕には君しかいないよｯ!?｣

『どこのウマのホネかもわからないオンナとあそんでばかりｯ!!』

｢えぇえぇ｣


もはや椿にはどうにも出来ない。
昨日の今日で、一体何が―――


そんな事を考えていると


『なによｯ、こらしめてやるんだからｯ!


そんな、えっと……』

何故か、Aがうーんと首を傾げる


『……えっと、あれ?

わすれちゃった』

Aはそう言うと、桜哉に向かって『えへへ』とはにかんだ


｢泥棒猫、な。
でもすげぇな、お前……将来有望な女優だ｣

桜哉はそう言って、苦笑いしながらAの頭を撫でた


｢……桜哉?どういう事?｣

椿が顔を引き攣らせて尋ねると、桜哉は｢ドラマですよ｣と言った


｢今日見たドラマの台詞を覚えたらしくて。試しに椿さんで遊びました｣

｢……悪趣味だね、君も｣


その場にへなへなと座り込んだ椿に、Aは『つばきごめんね?』と笑いかけた


(｢ほ、本当に嫌われたかと｣)
(『えへへ、Aすごいｯ?』)
(｢大女優だね……｣)

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