べルキアのカンは当たったようです ページ13
その日の夜のことだった。
『あっ、あのねｯ!
A、きょうりっくんにもらったモノがあるのｯ』
思い出した様にAがそう切り出した
｢りっくん?｣
｢強欲の主人ですよ。
確か、真祖の方はロウくんだか何だか｣
きょとんとする椿に、桜哉が小声で説明する
｢そう、強欲の……ふ、ふふ、彼らもAからあだ名で呼ばれてるんだね……｣
｢まだ気にしてるんですか、自分だけあだ名で呼んでもらえない事。｣
めんどくさいな、と眉を顰める桜哉を余所にAは嬉しそうに自分のリュックに駆け寄る
そこにかけられた、青い天使の羽に手をかけた
『これね、ぼうはんブザーなんだってｯ!かわいいのｯ!!
―――……あれ?』
不意にAの表情が曇ったかと思うと、彼女は慌ててリュックの中を開けて漁り出した。
何かを探しているようだ
｢A、どうしたの?｣
椿が近付くと、Aは呆然と空っぽのリュックを見つめて
『……ないの』
と、呟いた。
｢何がないんだ?｣
桜哉の言葉に、Aは顔をサァｯと青くした
『―――Aのきつねさんがいないのｯ!!』
｢はｧ?黒い狐のぬいぐるみｨ?
……それって、まさかアイツがいっつも持ち歩いてたアレ?｣
｢そうだよ。困ったなぁ……A、すっかり落ち込んでいるんだ｣
べルキアにそう話す椿の顔もかなり暗い。
Aが悲しむと、椿も何故か悲しい気持ちになるのだ
ぬいぐるみを無くしたAは、散々泣いた後に泣き疲れて眠ってしまった
今は、部屋で眠っている。
｢たぶん、おつかいの時に落としたんでしょうね……｣
桜哉がパソコンをいじりながら、眉間にしわを寄せて言った
｢……別に、同じのを買えばいいじゃ〜ん｣
｢それなんだけどね｣
べルキアの提案に、椿が肩を竦める
｢実はアレ、生産数がかなり少ないらしくて。
―――需要がなかったから、今じゃどこも作ってないらしい｣
ほら、と言って桜哉がPC画面を見せてきた。
確かに、例のぬいぐるみの画像と一緒に｢こちらの商品は生産を中止致しました｣と書かれている
｢はｧア?!｣
｢失礼しちゃうよ全く。黒い狐だって可愛いのに｣
口を尖らせる椿に、｢いや、そこじゃないでしょ｣と桜哉がツッコむ
｢A、相当泣いてましたね……お気に入りだったし｣
｢どうしようか……｣
頭を悩ませている二人を、べルキアが静かに見つめていた
｢……おつかいの時に、ねｪ……｣
(｢ベル、どうかした?｣)
(｢べ、別にｨ?｣)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 273人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【サーヴァンプ】うちの椿さんが小さな女の子を連れて来たんだが、どうすればいい...
【サーヴァンプ】うちの椿さんが小さな女の子を連れて来たんだが、どうすればいい... 異世界放浪者は海より山派。(ニ) [ONE PIECE]もっと見る
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - つばきゅんさん» ありがとうございます(´∀`)恐らく池のコイは養殖されていたんだと思います…… (2016年8月22日 12時) (
レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)
つばきゅん - コメント失礼します！３５０匹っていったあとのベルのツッコミが面白いと思いました！！ (2016年8月22日 12時) (レス) id: 619b453f13 (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯(プロフ) - 華南さん» いえいえｯ!!コメントをくださった上にそんな風に思ってくださって、逆にありがたいですｯ!!(//∇//) (2015年3月12日 20時) (レス) id: 8575e4e560 (このIDを非表示/違反報告)
華南(プロフ) - なんだよ……ただの激カワロリじゃないか……ちょっと椿さん夢主ちゃんについて小一時間語りまs((すいません (2015年3月12日 18時) (レス) id: cbe4b38526 (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯(プロフ) - レナレナさん» ありがとうございます!!ベルは子供とか好きなんだろうか……と考えたらなぜかツンデレにwwwこれからもよろしくお願いします(´▽｀*) (2015年3月2日 10時) (レス) id: 8575e4e560 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：暁 瑠卯 | 作成日時：2015年1月16日 20時
