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ブルーデージー「可愛いあなた」 ページ44

「……A〜」

椿が向かいのソファーに座るAに呼び掛けるが、聞こえなかったのか黙々と作業している


―――数日前から彼女は、何やら編み物に夢中だ

テーブルには小さな花瓶に、愛らしいブルーデージーが飾られている

花を飾る事こそ怠らないものの、空いた時間は殆ど編み物をしている様で。



椿としては、全く面白くない。

「……Aってば」


『……えっ?あ、何でしょう?』

少し強めに呼び掛けると、ようやく反応を示した
しかしAの手から、編み物の道具が手放される事はなくて。

それで更に機嫌を悪くした椿は、むすっとしながら彼女の手元を見つめた


「……さっきから何を編んでるの?」

まだ編み始めたばかりらしい深緑のソレは、パッと見ただけでは何か分からない

すると、Aはにこやかに答えた


『これは、手袋になるんです』

「……手袋?」

数日前にその名前を耳にした椿の頭に、ある人物が浮かぶ

……まさかとは思いつつ、恐る恐る口を開いた


「……もしかして


――――ベルへのクリスマスプレゼント?」

一瞬キョトンとしたAだったが、すぐに微笑んだ


『いえ、ベルさんのはもうできてます


これは、シャムさんへのですよ』

そう言って完成している鮮やかなピンク色の手袋を見せた。べルキアへのらしい


――後でシャムをしばこう。

明らかな八つ当たりであったが、今の椿にそんな事は関係ない




不機嫌度MAXの椿が、突然立ち上がった


『――――椿さん?』

驚いて声を掛けると、椿はスタスタと歩み寄りにAの隣に座った

そしてずいっと顔を近づける


「……A」

紅い瞳が、Aを捉える
Aの胸がドクンッと強く脈打った


『……へッ?』

顔に熱が集中する
椿の顔が近くて、声が上擦ってしまう

あわあわと距離を離そうとしても、椿が更に顔を近づけてくる


――――どうなってるのッ!?

『つ、椿さ…』

思わずAが目を瞑った時



――――ポフンッ

突然、膝の上に温かみを感じた


『え?』

驚いて目を開けると、膝の上に狐姿の椿がいた


「……」

椿はAの膝の上で甘える様にすりすりと身体を擦り付ける


暫くそうした後、小さな声でポツリと言った

「……僕にも少しは構ってよ」


――――きゅんッ


Aから何か音がしたが、それを耳にした者はいない

(『(つ、椿さん可愛い…ッ)』)
(「ねー。構ってよ〜」)
(『わ、分かりましたから膝の上でコロコロしないで下さい可愛い過ぎますッ』)

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作品ジャンル:アニメ
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- 全部甘々ぁぁぁぁぁぁ┗(^o^)┓三←逃げる主さん (2016年12月19日 20時) (レス) id: d11167310b (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - まじもさん» ふがが〜!?!?丁寧なコメントありがとうございます!!!!個人的にもこの話は好きな話なので、そう言って頂けると本当に嬉しいです……(*^^*) (2016年8月8日 9時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - あと書ききれなかったのですがこれからも小説書いてくださると嬉しいです!よろしくおねがいします! (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - 小説読ませていただきました!ありがとうございます!!ほんとにほんとによかったです!うまく言えないんですが椿さんと他のみんなもかわいい一面があってよかったのとすれ違いとか自分がキズついだりした時感情移入?しちゃって泣いちゃったりしたしたw (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - いなさん» 鉄夢の方も見てくださったんですね!!ありがとうございます(*^^*)仰る通りで、こちらと鉄夢の方は同じ世界観で作ってます(´∀`) (2016年8月1日 18時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁 瑠卯 x他1人 | 作成日時:2014年11月19日 23時

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