検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:42,677 hit

クリスマスローズ「不安を取り除いて下さい」 ページ41

『つ、椿さん、一体どちらにッ……』

腕を引かれながらAが懸命に訊ねても、椿はただ無言で歩き続ける


――――暫くしてようやく腕を解放されたのは、椿の自室の中だった



「……A」

椿の声に、Aの肩がビクンッと跳ねた



「……Aは……



――――桜哉が好きなの?」


眉を下げた椿の紅い瞳が、不安げに揺れながらAを見つめる


『……えっ?』


「べ、別に良いんだよ。桜哉と付き合ったって、僕がとやかく言うことじゃないし……」

椿が慌てて訂正する。
……が、さっきの発言のせいで全く説得力がない


「た、ただ……君が桜哉をどう思ってるのか……急に知りたくなって。だから、その


……A?」

返事の無いAに不安を覚えたのか、椿が顔を覗き込む

Aはハッとしてすぐさま首をぶんぶんと横に振った


『ち、違いますッ!誤解ですッ……!!


桜哉くんの事は大切な仲間というかッ……友達、みたいな、だから』


――――こんなにこんなに、貴方が好きなのに。

勘違いされる程、自分の気持ちは伝わっていなかった。

自分の不甲斐なさに、悔しくて涙が出てしまう


「えっ、Aッ!?」

椿が慌ててAの顔を再び覗き込んだ


『わ、私ッ……ぅ、うぇッ』

それでもなお涙を零すAに、椿は困った様に頭を掻いた

「……ッ、その


――――あ〜もうッ……!!」

突然、椿がAを抱き締めた


『……へっ?』

Aの涙が、ピタリと止まる

椿は宥める様にとん、とん、とAの背を叩く


「――――ごめん」

小さな声で、呟いた


「泣かすつもりは無かったんだ。その……


少し、不安になって」

そう言って椿は、Aの瞳を見つめる


「…なんだか、Aが僕から離れて行っちゃうような気がして」

『私が……椿さんから?』


――――何と言う的外れな不安だろう。

Aが椿から離れるなんて、有り得ないのに


それを伝えようと、Aは濡れた瞼を拭うと真っ直ぐ椿を見つめ返した


『わ、私には、椿さんしかいませんッ

初めから、ずっと……これからだって』

途中から、Aが顔を真っ赤にして俯く

椿はキョトンとしてAを見ていた



が、暫くしてふっと微笑んだ

「――――そっか。


……ありがとう、A」


椿はそう言うと


もう一度、Aを強く抱き締めた


(「何だ、勘違いかぁ……」)
(『分かってもらえた……』)

(「『良かったぁ……』」)

(どうして椿さんが安心するんだろう?)

クロッカス「じれったい」→←金魚草「推測ではやはりNOです」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (59 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
45人がお気に入り
設定タグ:サーヴァンプ , , 憂鬱組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- 全部甘々ぁぁぁぁぁぁ┗(^o^)┓三←逃げる主さん (2016年12月19日 20時) (レス) id: d11167310b (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - まじもさん» ふがが〜!?!?丁寧なコメントありがとうございます!!!!個人的にもこの話は好きな話なので、そう言って頂けると本当に嬉しいです……(*^^*) (2016年8月8日 9時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - あと書ききれなかったのですがこれからも小説書いてくださると嬉しいです!よろしくおねがいします! (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - 小説読ませていただきました!ありがとうございます!!ほんとにほんとによかったです!うまく言えないんですが椿さんと他のみんなもかわいい一面があってよかったのとすれ違いとか自分がキズついだりした時感情移入?しちゃって泣いちゃったりしたしたw (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - いなさん» 鉄夢の方も見てくださったんですね!!ありがとうございます(*^^*)仰る通りで、こちらと鉄夢の方は同じ世界観で作ってます(´∀`) (2016年8月1日 18時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:暁 瑠卯 x他1人 | 作成日時:2014年11月19日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。