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枯葉「メランコリー」 ページ39

"――――好き、ですから"


聞くつもりはなかった。

椿はソファーに腰掛けながら、昨日の出来事を頭に巡らせた。


たまたま部屋に入っただけ。
まさか……


「Aが桜哉の事を、好きだったなんてね……」

別に悪いわけではない。
むしろどこの馬の骨とも分からないような人間なんかよりはずっとずっとマシである。


―――だけど……


「……面白くない」


もやもやとした憂鬱な気分で、椿はソファーから立ち上がると窓辺に近づく。


窓を開けると、ひんやりした空気が部屋に入り込んだ。

先程よりは、頭がスッキリしたような気がする。


「……桜哉、か」


彼がAに気があることは薄々気付いていたし、思いが通じ合ったのはいい事だ。


――――それなのに、どうしてこんなに面白くないんだろう。


「わかんないなぁ……」

そう呟くと、不意にヒュオッと強めの風が吹き込んで来た。

――一枚の枯葉が、椿の肩に落ちる。


「……枯葉……」

椿は枯葉を手に取ると、くるくると回して弄ぶ。


不意に、Aの顔が浮かんだ。

花を楽しそうに愛でる、彼女の顔。


「そう言えば……


今日はまだ顔を見てないな……」

また花の調達にでも出掛けたのだろうか。
だとしたら、一人で外に出たのか。


―――また、以前の様に他の真祖に襲われたら……

椿の胸に不安が過ぎる。


「……いや」

それはないか、と椿は苦笑する。
きっと桜哉が側にいるんだろう。



「僕が行くまでもない、か」

自分が行かなくてもきっと、
桜哉がAの隣にいるんだろう。



「……」


―――自分じゃなくても、



―――彼女の隣には、"自分じゃない誰か"が…


「……



――――全然、面白くない」

椿はそう吐き捨てると、Aを探して部屋を出て行った。


(やっぱり、面白くないんだ)
(君が、僕以外の奴の隣で花を飾る姿なんて)

(……僕以外の男の隣で、笑ってるなんて)

金魚草「推測ではやはりNOです」→←シレネ・ペンデュラ「恋の落とし穴にご注意」



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作品ジャンル:アニメ
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- 全部甘々ぁぁぁぁぁぁ┗(^o^)┓三←逃げる主さん (2016年12月19日 20時) (レス) id: d11167310b (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - まじもさん» ふがが〜!?!?丁寧なコメントありがとうございます!!!!個人的にもこの話は好きな話なので、そう言って頂けると本当に嬉しいです……(*^^*) (2016年8月8日 9時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - あと書ききれなかったのですがこれからも小説書いてくださると嬉しいです!よろしくおねがいします! (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - 小説読ませていただきました!ありがとうございます!!ほんとにほんとによかったです!うまく言えないんですが椿さんと他のみんなもかわいい一面があってよかったのとすれ違いとか自分がキズついだりした時感情移入?しちゃって泣いちゃったりしたしたw (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - いなさん» 鉄夢の方も見てくださったんですね!!ありがとうございます(*^^*)仰る通りで、こちらと鉄夢の方は同じ世界観で作ってます(´∀`) (2016年8月1日 18時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁 瑠卯 x他1人 | 作成日時:2014年11月19日 23時

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