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桃「あなたに夢中」 ページ25

美しい桃の花が活けられた部屋だった


―――とっても綺麗…

甘い香りを放つソレにうっとりと見とれている間に、椿と男の話は進んでしまったらしい


「では、そのまま宜しくお願いします」

「えぇ、お任せ下さい」


椿は男の返事に満足げに微笑むと、立ち上がってAを見た


「―――A。帰ろうか」

男の後ろに飾られた桃の花に夢中になっていたAは、ハッとして立ち上がる

すると、男はクスリと笑った


「お連れの方は、花がお好きですか?」

華道の家元の当主にしては、少し若い。


『え、えぇ…とても。綺麗な桃ですね』

Aがそう言うと、男は謙遜するように苦笑する

「いえ……私などまだまだ。

ですが、そうですね


今度の展覧会では、もっと喜んで頂けるように努力しますよ」


―――展覧会?

聞き覚えのない言葉にAは内心首を傾げたが、男はAに優しく微笑んでいる

どうやらAに、気があるようだ

目敏く気が付いた椿は、すぐさま口を挟む


「すみませんが、長居するわけにも行きませんので、これで失礼します」

椿がそう言うが、尚もしつこくAに話し掛けてくる。
曖昧にAが流していると、痺れを切らしたのか、直接的にAを誘った


「Aさんは花がお好きなんですよね?
是非、貴女と語り合いたいのですが……


宜しければ今度、2人でお茶でも」

『え?えっと、』

急な誘いにAは驚いて身を引いたが、すぐさま2人の間に椿が割込んだ


「すみません。

―――彼女は僕の大切な人なので、身を引いてもらえますか?」


それを聞いて、男は一瞬顔を強ばらせたが
すぐに微笑みを浮かべ「これは失礼しました」と大人しく身を引いたのだった



だが、一番動揺したのはAである


『椿さん、どうしてあんな……』

帰り道、椿に手を引かれながらAは顔を赤らめて訊ねる
だが椿は、さも当然のように

「だって本当の事だし」

と真顔で答えた


―――それは、家族として……ですよね

一瞬期待したAだが、椿に限ってそれはないと思い直す。


「―――僕は、」

不意に椿がAを見つめる。


「……僕はやっぱり、あんな着飾る為に活けられた花よりも

君が"愛でる為に"活けた花の方が好きだな」

―――その微笑みが、あの桃の花よりも綺麗で

『……あ、

ありがとう、ございます……』


Aの頭は椿で一杯になるのだ。


(「害虫が寄らない様に、気を付けなきゃ」)
(『えっ?』)
(「何でも無いよ」)

ジャスミン「肉欲(色欲)」→←ちょっと一息…



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作品ジャンル:アニメ
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- 全部甘々ぁぁぁぁぁぁ┗(^o^)┓三←逃げる主さん (2016年12月19日 20時) (レス) id: d11167310b (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - まじもさん» ふがが〜!?!?丁寧なコメントありがとうございます!!!!個人的にもこの話は好きな話なので、そう言って頂けると本当に嬉しいです……(*^^*) (2016年8月8日 9時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - あと書ききれなかったのですがこれからも小説書いてくださると嬉しいです!よろしくおねがいします! (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - 小説読ませていただきました!ありがとうございます!!ほんとにほんとによかったです!うまく言えないんですが椿さんと他のみんなもかわいい一面があってよかったのとすれ違いとか自分がキズついだりした時感情移入?しちゃって泣いちゃったりしたしたw (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - いなさん» 鉄夢の方も見てくださったんですね!!ありがとうございます(*^^*)仰る通りで、こちらと鉄夢の方は同じ世界観で作ってます(´∀`) (2016年8月1日 18時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁 瑠卯 x他1人 | 作成日時:2014年11月19日 23時

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