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松葉菊「怠惰」 ページ21

とても綺麗な松葉菊が手に入った


日がほぼ沈んだ夕方、Aはウキウキしながら帰路についていた。

早く帰って、花を活けなくては。
皆に綺麗な花を見てもらいたかった



――――コンッ

聞きなれた下駄の音が響いた

目の前に現れたのは、急いで来たらしい椿の姿だった

「A……」

椿は驚いた様にAを見た後、ホッとしたように近づく


「出掛けるなら、誰かに声を掛けて。急に居なくなるから、びっくりしたんだよ」

そう言うとAの額にデコピンをあてる

『ぁたっ……す、すみません。皆さん忙しそうでしたので……』

嫉妬の真祖に襲われてからというもの、椿は少し過保護になった気がする。
椿は「全く」と言いながらも安堵したように微笑んだ


「早く帰ろう。寒くなってきたからね」

そう言って帰ろうとした時だった


「あぁーーッ!!」

驚愕の声が響き渡った


「お、お前は椿ッ!なんでこんな所にッ」

色素の薄い少年が、買物袋を片手にこちらを指さしていた。
傍らにはフードを被った長身の男

「めんどくせぇ奴に会っちまった……」

「まさかまた何か企んでんじゃッ……」


「まさか」

椿はふぅとため息ついて口元を袖で隠す

「見ての通り、なーんにもしてないよ」


Aは何がなんだか分からない
不安げに椿を見上げると、少年が気がついて先に声を上げる

「えっ……

お前、彼女いたの?」

『!?!?』

少年の言葉にAは顔を真っ赤に染める

『か、彼女とかじゃないです滅相もないッ!』

「あ、なんだ」


椿はAを見て前の二人を指さす

「あれが"怠惰の兄さん"とその主人、城田真昼だよ」

『!!』

Aは初めて見た敵をまじまじと見つめた。


『椿さんの下位吸血鬼のAです。初めまして』

ペコリとお辞儀すると真昼もつられてお辞儀をした

「お前は何敵に挨拶されてんだよ」

「ハッ!つい……」

クロに指摘された真昼は慌てて姿勢を正す


「ってか、平和的そうな下位吸血鬼だなぁ……」

真昼は拍子抜けしたようにAを見る
Aはふと思い付いたように松葉菊を見るととたとたとクロに歩み寄った


『こちら、どうぞ。貴方にぴったりのお花ですから』

花を受け取ったクロと真昼はポカンとしてAを見た
それを見た椿はすぐさまAの手を引く

「帰ろう、A」

『え?』

途端に椿はAと共に消えてしまった


「……変な下位吸血鬼」

真昼の呟きは空に溶けた


(『椿さん、何か起こってます?』)
(「……別に」)

アッツザクラ「無意識」→←スカビオサ「エゴイズム」



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作品ジャンル:アニメ
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- 全部甘々ぁぁぁぁぁぁ┗(^o^)┓三←逃げる主さん (2016年12月19日 20時) (レス) id: d11167310b (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - まじもさん» ふがが〜!?!?丁寧なコメントありがとうございます!!!!個人的にもこの話は好きな話なので、そう言って頂けると本当に嬉しいです……(*^^*) (2016年8月8日 9時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - あと書ききれなかったのですがこれからも小説書いてくださると嬉しいです!よろしくおねがいします! (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - 小説読ませていただきました!ありがとうございます!!ほんとにほんとによかったです!うまく言えないんですが椿さんと他のみんなもかわいい一面があってよかったのとすれ違いとか自分がキズついだりした時感情移入?しちゃって泣いちゃったりしたしたw (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - いなさん» 鉄夢の方も見てくださったんですね!!ありがとうございます(*^^*)仰る通りで、こちらと鉄夢の方は同じ世界観で作ってます(´∀`) (2016年8月1日 18時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁 瑠卯 x他1人 | 作成日時:2014年11月19日 23時

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