検索窓
今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:42,684 hit

ノースポール 「お慕いしています」 ページ17

――――コンッ……



突然、御国とジェジェに突風が襲った


「……!!」

御国は帽子を押えながら何とか前を見ると


――――一瞬、黒い影が通ったのが見えた



次の瞬間には、Aの姿はなかった


「…何、今の」


「……憂鬱のサーヴァンプ……」

御国の呟きに、ジェジェがボソッと答えた
先程の風で頭の紙袋が2つ落ちた


「へぇ。あれが」

御国はにやりと笑うと、後ろにあるビルを暫く見つめた




「大丈夫?A」

椿がAを抱きかかえて、廃墟のビルに降り立つ
椿が不安げに顔を覗くので、朦朧としたAの意識は直ぐに覚醒した

『つ、椿さんッ……!?』

Aはすぐに降りようとしたが、胸に鋭い痛みを覚え、顔を歪めた。
すると椿は「大人しくして」と言ってAを抱いたままビルの屋上に座り込む

『どうして、此処に』


Aの声を遮り、椿の手がAの頬に添えられる

「―――ごめん」

悲しげに言った椿が、Aの額に己の額を合わせた


「もっと早く、助けられたら良かった」

そう言う椿に、Aは首を横に振った


『椿さんは悪くありませんっ

全ては、私の不注意で―――』

ズキン、と胸が傷んだ。
撃ち抜かれた傷みだけじゃない。これは、心の痛み


「君に何かあった時、君が相手を傷付ける事を恐れるだろう事は、分かっていたのに」

椿はAの胸の傷口にそっと手を乗せる
既に塞がり始めていたが、真祖の攻撃ならば完治には時間が掛かる


『そんな……私が、臆病者なだけでっ』

"――――さぁアベル 臆病者の彼女にご慈悲ある判決を!!"

有栖院御国の言葉が突き刺さる

――――強くならなくちゃ、いけないのに


『ごめん、なさい……』

俯くAの顔を、椿の指先が上げた


「家族を守るのは、僕の役目だ。君を危ない目に合わせたくないのは、僕の"エゴ"だよ」

そう言って笑う椿を見ると、酷く安心してしまう


今更力尽きたのか、Aの瞼が重たくなる
胸に置かれた椿の手が温かくて、心地がいい


「大切なんだよ。僕にとって、何よりも――……」


――――嗚呼、そうして"家族"を思う貴方を

ずっと慕っているのに、苦しいのは
どうしてだろう


そんな事を考えながらAは意識を手放した


椿は廃墟の屋上に咲く、ノースポールをAの胸に置く

「……全力で走ってまで助けたのは、君だからだよ」

椿の声は、Aに届かない。


(「もしベルなら、こんなに走らないよ」)
(「……今はゆっくりおやすみ、A」)

ナンテン「私の愛は増すばかり」→←マリーゴールド「嫉妬」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (59 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
45人がお気に入り
設定タグ:サーヴァンプ , , 憂鬱組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- 全部甘々ぁぁぁぁぁぁ┗(^o^)┓三←逃げる主さん (2016年12月19日 20時) (レス) id: d11167310b (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - まじもさん» ふがが〜!?!?丁寧なコメントありがとうございます!!!!個人的にもこの話は好きな話なので、そう言って頂けると本当に嬉しいです……(*^^*) (2016年8月8日 9時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - あと書ききれなかったのですがこれからも小説書いてくださると嬉しいです!よろしくおねがいします! (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - 小説読ませていただきました!ありがとうございます!!ほんとにほんとによかったです!うまく言えないんですが椿さんと他のみんなもかわいい一面があってよかったのとすれ違いとか自分がキズついだりした時感情移入?しちゃって泣いちゃったりしたしたw (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - いなさん» 鉄夢の方も見てくださったんですね!!ありがとうございます(*^^*)仰る通りで、こちらと鉄夢の方は同じ世界観で作ってます(´∀`) (2016年8月1日 18時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:暁 瑠卯 x他1人 | 作成日時:2014年11月19日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。