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ペチュニア「貴方といると心から休まる」 ページ14

貴方の為なら、何でもしてあげたいと
心から思うんです。


―――――思っては、いるんです……


喉が乾いて仕方ない

血が欲しい


だって吸血鬼だから。


―――――でも、怖くて怖くて仕方ないんです

誰かをこの手で殺めるのが怖い。
傷つけるのが、怖い。


私はベルさんみたいに剣を他人に串刺したり、
ヒガンさんみたいに他人を抉るなんてできません

だって肉の感触が怖いから


―――――だから私は直接手は下さない。

私の茨が全てをこなしてくれる。
私は触れなくていい。


強いんじゃないんです、怖いのです。

私は、臆病者です。
不死の吸血鬼すら、傷付けられない


椿さんの力になりたいのに。助けたいのに
それなのに、


私は――……



「A」

花瓶を手に座り込むAを見つけた椿は、すぐに歩み寄った。
Aが顔を上げると、椿は優しく微笑みながらかがみ込む


「どうしたの?」

『椿さん……』

Aはペチュニアを活けた花瓶を握り締める
と、ぽつぽつと漏らし出す


『私……怖くて、仕方ないんです』


「……うん」

椿はAの隣に腰を下ろすと、ゆっくりとした手つきで頭を撫でた。

『私、椿さんの力になりたいのに』


「……うん。分かってるよ」

君の気持ちは分かってる、と
椿は頭を撫でながら優しく答えた。

ペチュニアの花瓶を握るAの手に、透明な雫が落ちる


『私には椿さんだけなんです、皆と同じ様にっ……!!』

それ以上に、とは言えなかった。
想いを伝える事すら、Aには怖いのだ


「分かってる」

椿はそう言うと、頭を撫でる手を止めてただ真っすぐにAを見つめた。


「君の気持ちは、ちゃんと伝わってるから」


――――本当に?

微笑んでそう言った椿に、自分の気持ちを吐き出してしまいたくなったが、そんな勇気はない。


……それ以上に、椿の温もりが暖かかった。

肩に置かれた手から、彼の熱が伝わってくる。


「A、僕はね、戦って欲しくて君を迎えた訳じゃないんだよ」

優しく諭すように話す椿の瞳を見れば、そこには、Aしか映っていない

―――嗚呼、ずっと見ていたい。


「傍に居てくれるだけでいい。そうやって、僕らの周りに花を咲かせてくれるだけでいい」

椿がそう言うだけで、心の曇りが晴れるような気がした


「A。

大丈夫、僕がずっと傍にいるよ」

嗚呼、貴方がそうやって名前を呼んでくれるだけで
私を傍に置いてくれるだけで


私は、心から安心出来るんです――……

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作品ジャンル:アニメ
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- 全部甘々ぁぁぁぁぁぁ┗(^o^)┓三←逃げる主さん (2016年12月19日 20時) (レス) id: d11167310b (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - まじもさん» ふがが〜!?!?丁寧なコメントありがとうございます!!!!個人的にもこの話は好きな話なので、そう言って頂けると本当に嬉しいです……(*^^*) (2016年8月8日 9時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - あと書ききれなかったのですがこれからも小説書いてくださると嬉しいです!よろしくおねがいします! (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
まじも(プロフ) - 小説読ませていただきました!ありがとうございます!!ほんとにほんとによかったです!うまく言えないんですが椿さんと他のみんなもかわいい一面があってよかったのとすれ違いとか自分がキズついだりした時感情移入?しちゃって泣いちゃったりしたしたw (2016年8月8日 6時) (レス) id: 2a2ae8b192 (このIDを非表示/違反報告)
暁 瑠卯@ツイ民(プロフ) - いなさん» 鉄夢の方も見てくださったんですね!!ありがとうございます(*^^*)仰る通りで、こちらと鉄夢の方は同じ世界観で作ってます(´∀`) (2016年8月1日 18時) (レス) id: d9a84170e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁 瑠卯 x他1人 | 作成日時:2014年11月19日 23時

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