雨【日春】1 ページ12
【クロスオーバー注意】
ずっと子供でいたかった。
子供は我儘で、誰にでも甘えられて、好きに泣ける。
こんなことしていると好きに泣けるわけでもない、
そもそも泣くこともない。
泣けないんだ。
大雨の日。右京や左京には止められたが、俺は傘もささず散歩に出かけた。何か、少しだけ気分転換のようなものがしたかった。
少しだけ屋根のあるところへ入れば、
鼻先からぽたぽたと雨水が垂れる。
傍から見れば、泣いているようにも見えるのか。
いや、そんなことないか。
なんて自問自答してから、また歩き出す。
ふと目線を上げると、スーツを着た男を見つける。
どこのやつだ、九龍のやつか?いやあんなやつみたことがない。
じっと目を凝らし見てみると、
スーツを着た男は涙を流していた。
ずぶ濡れで、雨かと思った。
だが、男の目からは絶える間も無く涙が流れていた。
「おい」
そう声を掛けるとびく、と肩を揺らし目を擦りこちらを向く。
「なん、ですか」
怯えたように、絞り出したような声で、こちらを見つめ、返事を返してくる男に、
「濡れてんだろ」
と指を指す。自分が言えることではないが、風邪ひくぞ、と。
「...お兄さん、だって」
鼻を啜りながら反論するように言う男に
「うるせえ、こっち来い」
そう言って男の手を引く。
男は驚きながらも、また泣きながらありがとう、とお礼を言った。神社につけば、
「誰かタオル」
と声を上げる。
奥からはタオルを持った加藤が来る。
「日向おかえ、ッて誰だよそいつ」
タオルを握り、俺が腕を引いてきた男を睨む。
「おい」
と声をあげれば、嗚呼、とはっとし、タオルを渡してくる。
「おい、お前が使え」
神社の石垣に座りタオルを男に渡す。
「ッえ、でも...」
と言いかける男に、いいから。とタオルを雑に男に掛けてやれば、また小さな声でありがとう、と言い濡れた頭を拭いている。
また奥から加藤が着て、もう1枚タオルを渡してくれる。自分も頭を拭きながら、男に
「お前、名前は」
と聞く。男は「創一」と答える。
名字も聞いたが、言いたくない、と言う。その時は何故かは深くは聞かなかった。
102人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
無月(プロフ) - 神山紗菜さん» ww (2018年10月13日 8時) (レス) id: b1c6317aec (このIDを非表示/違反報告)
神山紗菜 - 無月さん» 前はぁっ!?って思ってみてました変態ですすみません← (2018年9月4日 22時) (レス) id: 37e2eacede (このIDを非表示/違反報告)
無月(プロフ) - 神山紗菜さん» ほんとそれwwおしり綺麗やったねえww (2018年9月3日 22時) (レス) id: b1c6317aec (このIDを非表示/違反報告)
神山紗菜 - 無月さん» それな笑なんであんなイケメンなのかが分からない笑そしておしりがきれいっていうねー笑 (2018年9月3日 22時) (レス) id: 37e2eacede (このIDを非表示/違反報告)
無月(プロフ) - 神山紗菜さん» Wケントやばかった...w (2018年9月1日 11時) (レス) id: b1c6317aec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:無月 | 作成日時:2018年5月1日 22時