弐拾壱話 ページ24
最終日
夜明けが近くなった頃
少し開けた場所で、私は周りの木ほどもあろうかという大きな鬼と対峙していた
腕が二本だけでない
他の選別者が襲われかけていたのでその鬼の腕を切り落としたが、思ったより固かった
そのうち戦闘になり、鬼は、拍子に懐から落ちた面に興味を示したようだ
「ほう
その面、鱗滝のものだなァ」
鱗滝さんを知っているらしい
聞けば、江戸の頃、当時柱だった鱗滝さんに捕らえられて藤襲山に入れられたそうだ
腹いせに、鱗滝さんの弟子たちを次々に喰っているのだとか
「そりゃあもう十人は喰ったさ！
そうだなァ、特に強かったのは宍色の髪で口元に傷のあったガキと、花柄の着物の女のガキだ」
二人を殺したのはこの鬼だったのか………
不快感が胸の内に燻りかける
「これを聞いて平然としてるなんて奴はお前が初めてだ
まあ、お前も喰ってやるがなァ
面を懐にしまっていたなんて危うく見逃すところだったよ………」
シュッと伸びてきた腕を跳んで躱す
「早いなァ
あの女のガキよりも早いんじゃないか？」
『なら、あなたに私は殺せないわね』
あの二人が本当に強かったことは分かる
真菰の敗因となってしまった“動揺”は私にはないから、少なくとも逃げ切れはするだろう
ただ、私は錆兎よりも力は弱い
この鬼の頸を斬ることは出来ないだろう
「いつまで逃げ切れるかなァ？」
下品な笑い声をたてながら追い詰めてくる鬼
その時、ちょうど夜明けを迎えた
私に気をとられていたらしい鬼は、明るくなり始めた山の端を見て焦った表情をしている
すると鬼は、日の当たらない西の方へと駆けだした
すかさず、退路を塞ぐように回りこむ
状況が一変し、樹木が並ぶ中での戦闘は小回りの利く私が有利になった
頸が斬れなくとも、ここで足止めし、朝日で焼くことはできると考えた
「っっ！邪魔だァ！！」
鬼は腕を振り回すも、木々のせいで大きく振れない
振り切れないと判断したらしい鬼は、地面へと潜ってしまった
倒すことは、できなかった
朝日で少し火傷を負ったように見えたが、もう回復してしまっただろう
『ごめん、錆兎、真菰』
二人の仇は、討てなかった
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うみしん(プロフ) - イナアレオリさん» ありがとうございます！最近は更新もなかなか出来ず申し訳ありません…頑張りたいと思いますので、今しばらくお待ち頂けると幸いです！ (2020年11月1日 17時) (
レス) id: 6eb890cc4d (このIDを非表示/違反報告)
イナアレオリ - 続きが気になります！早く続きを読みたいです。更新頑張ってください (2020年11月1日 17時) (レス) id: 1602b41523 (このIDを非表示/違反報告)
うみしん(プロフ) - ありがとうございます！これからも更新頑張りますね！！ (2020年7月26日 9時) (レス) id: 6eb890cc4d (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - うみしんさん» 無理なく、気ままにやるのが占いツクールなので、ずっと 応援します！ (2020年7月26日 8時) (レス) id: 1d4ed2cded (このIDを非表示/違反報告)
うみしん(プロフ) - わかめさん» コメントありがとうございます！私事ですが、忙しく、更新出来ない日も多いと思います…。それでも、続きを待っていると仰ってくださったこと、とても嬉しく思います！これからもどうかお付き合いくださいませ！ (2020年7月25日 23時) (レス) id: 6eb890cc4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うみしん | 作成日時：2020年6月7日 21時
