真冬の桜Ⅴ (ページ33)

今日:28 hit、昨日:17 hit、合計:186,017 hit

○ ページ33

．

花と花瓶を手にして
近くの洗面台に行く

花についてなんてよくわかんねえけど
適当に水を入れて、、ちょっと入れすぎかもって流す

そしてまた来た道を戻って
部屋に帰る

たったそれだけ

ほんとに、数分のこと

それなのに

｢……………佐久間、どした？｣

部屋に戻ると、
さっきまでベッドの上でニコニコ笑ってたはずなのに

座ったまんま
パタンと前に倒れた状態の佐久間がいた

｢っ、おい、どうした？｣

適当なところに花瓶を置いて
すぐに駆け寄る

佐｢っはぁ、なんかっ、、ぐるぐるっして、｣

｢頭？痛いか？｣

佐｢…しょ、、た、、わかんないっ、｣

どこが痛いか、わかんない
何が起こってるのかわかんない

｢ん、わかったわかった、、すぐ先生来てくれるから｣

佐｢わかっない、、きこえないっ、｣

｢えっ、？｣

翔太の声、聞こえない

より焦ったように吐き出す行きの中で
佐久間は確実にそう言ったのだ

俺が驚くのと同時に
看護師さんが部屋に来る

『佐久間さ～ん、大丈夫ですよ～
今先生来ますからね』

｢あ、あの、、今佐久間が聞こえないって
俺の声が聞こえないって言ってて｣

『…わかりました、』

ごめんね、お待たせ

ちょっと息を切らした先生が部屋に来る

なんかすごい安心感

『大丈夫だからね、渡辺くんちょっとだけ部屋出ててもらえるかな？ごめんね』

｢っ、はい。｣

部屋から少し離れた椅子にただ座るだけ

ちょっと、声かけするようになったからって
出来るやつみたいに思ってたけど

また現実を突きつけられた感じ

｢あいつ、そういや言ってたな、、、、
不治の病、だったけ｣