【HQ】狂 愛 物 語【短編集】

澤村大地【過保護型ヤンデレ】 ページ43

「先輩、外暗いし送りますよ。」


「え、大丈夫だよ飛雄。」


「A、送って貰いなさい。影山、気をつけてな。」



部活が終わると、既に外は真っ暗。


田中や西谷は、清水に送ろうかと聞いたが、いつも通りにフラれた。そして、今度はAを送ると言っていたが撃沈。


とぼとぼと去っていく2人の後ろ姿を見ながら、今度は後輩2人の背中を押して、無理やりに体育館から押し出した。


日向やスガが「影山こんにゃろー！ずるいぞ！」などと言っていたが、影山がキッ、睨むとヒィっ、と短く反応して、カバンをもつとそれぞれの家の方向へ急いで帰ってしまった。



「A先輩、外めっちゃ暗いですね。」


「ほんとだ。暗いって怖くない？」


「そうっすね。」



その会話を聞いて、ピーンと閃いた。



「A、持っていけ。」


「‥‥懐中電灯？澤村先輩、やりすぎですよ〜。」



そう、超絶性能のいい懐中電灯を手渡したのだ。予想どおり断られたが、まぁいいか。


俺は、Aさえ傷つかなければ他はどうでもいいスタンスだ。



「そういやぁさぁ、今日の美術の時さ、私のカッター刃先が折れててさ〜。」


「なんですかそれ。」



2人の仲のいい話がAのリュックにつけた盗聴器から流れてきた。


多分、この行動は俗に言うストーカーらしいが、ストーカーでは無くAに傷がつかないようにしているだけなのだ。


まぁ、バレたら終わりだけどな。


あの美術の授業でAが手を切らないようにカッターの刃先を予め折っておいたのは俺の仕業だし、俺のカバンにいつも包帯が入っているのはいつかAが怪我をした時に必要だと判断したからだ。


‥‥‥‥‥やっぱり俺は、過保護なのかもしれない。

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