【HQ】狂 愛 物 語【短編集】

国見英【神格型ヤンデレ】 ページ46

「A〜、あれ取ってくれ。」


「ハイハイ。ていうか飛雄、熟年夫婦みたいな言い方やめてよ。」



バレーの練習中、影山がボールを手に持ったままAに駆け寄って2人にしか理解できない言い方をした。

Aは、ため息をつきながら影山が求めていたであろうタオルを肩に向かって投げた。



「なんでだ？だってお前とって欲しいもん分かってるじゃねぇか。」


「熟年夫婦の意味わかる？」


「知らねぇ。」


「あんた本当に中学３年生？」



笑いながら戯れる2人。


やめろ、お前みたいな自己中の王様とAが関わったら、Aの純粋無垢な笑顔が汚れるだろ。


なんて言い出せない口を閉じ、ギリ、と歯を食いしばる。



「国見くん、はいタオル。」


「っあ、え‥‥‥あ、ありがとうこざいます‥‥‥‥。」


「ふっ、なんで敬語なの？」



いつの間にか影山から離れたのか、くすりと笑ってふかふかの柔らかいタオルを俺に差し出すA。


はぁぁぁぁ、Aの鈴を転がしたような声で俺の事呼んでもらったっ‥‥。



「えあ、っ、えっ、い、いや、なんでも‥‥‥。」


「国見くんってそんなキャラだったっけ？」



彼女のあまりの神々しさに吃った俺を不審に思ったのか、可愛らしく首を傾げるA。


あ、嫌われたかもしれない‥‥‥‥。どうしよう、Aに嫌われたら俺、俺、生きていけない‥‥‥。



「何言ってるの、嫌ってないよ。」


「え、なんで‥‥‥。」


「思いっきり顔に出てました。」



このネガティブくん、と言って背伸びをし、手を伸ばして俺の頭を軽くチョップA。


彼女のキラキラとした大きい瞳とパチッ、と視線が噛み合う。



「っぁ、ぇあ‥‥えっ‥‥‥。」



Aが、俺に触ってくれた‥‥‥‥。あの、小さくて細い可愛い手で‥‥‥‥。


その事実を思い出し、かぁぁぁ、と顔が暑くなってきた。



「ふふ、顔真っ赤。」


「っえ、あ、はっ、Aちゃ‥‥‥‥。」

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