百十五話 ページ19
〜五条〜
「……。」
「なんだよその顔は。」
「納得のいかねぇ顔。」
「嘘だな。」
「なんで分かんだよ、怖ぇわ。」
「はは、親友だろ？」
そう言ってカーテンを紐で止める傑。
「……傑だけは敵に回したくねぇ。」
「そんな褒めるなって。」
「褒めてねぇわ。」
「それじゃ、私は先に失礼するよ。ちゃんと戸締まりまでするんだよ。」
「お前は親か。」
そりゃ俺だってわかってる。
愛おしいAが、今目の前で死人のように眠っているのは別にあいつらのせいじゃねぇ。
俺たちの中に責められるべき人物はいない。
それでも、この拠り所のない怒りは何処にぶつければいいのか。
硝子も傑もいないこの医務室で聞こえるのは、自分の硬直した心臓音と、ピッ、ピッ、という無機質な機械音だけだ。
雪のように白い肌に陰を落とす長い睫毛は一動作もしないし、布団を抑えるように置かれた手も動かない。
「早く目ェ覚ませよ、A。」
普段はAの寝顔に歓喜の発狂をする俺でも、さすがにこの時ばかりはその気にはなれなかった。
……あ〜、でもやっぱ可愛いな。
Aが起きる時までに、婚姻届何枚か用意しとこ。これまでに何回か破かれたからな。
ウンウンと一人で頷き、俺はベッドの脇に置かれた椅子から立ち上がった。
静かな呼吸音だけをたてるAの血の気のない頬に、こっそりとキスをして。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1657人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カオスぅ〜 - wwwカオスこえてコスモは本当にウケるwwwクロスオーバーだけどちゃんと話し繋がってて凄かったです！ (1月9日 18時) (
レス) @page41 id: e51a54572c (このIDを非表示/違反報告)
キャンパスロング(プロフ) - 胡蝶 恵@副垢さん» コメントありがとうございます！短編集作りましたので、お暇があれば見てみてくださいね！これからもよろしくお願いいたします！ (2022年1月12日 6時) (レス) id: ba887c24aa (このIDを非表示/違反報告)
キャンパスロング(プロフ) - いゆさん» コメントありがとうございます！短編集作ったので見てみてください！これからもよろしくお願いいたします！ (2022年1月12日 6時) (レス) id: ba887c24aa (このIDを非表示/違反報告)
キャンパスロング(プロフ) - ふらんそわ。さん» コメントありがとうございます！ですよね、食べたいですよね！！三つ編み！！これからもよろしくお願いいたします！ (2022年1月12日 6時) (レス) id: ba887c24aa (このIDを非表示/違反報告)
キャンパスロング(プロフ) - uratanuki1010さん» コメントありがとうございます！短編集作ったので見てみてください！これからもよろしくお願いいたします！ (2022年1月12日 6時) (レス) id: ba887c24aa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キャンパスロング | 作成日時：2022年1月4日 15時
