13 ページ14
Aside
翌日。今日は佐々木さんとの約束も無いし仕事も早く終わったのでこのまま焼肉屋に向かう。佐々木さん曰く、個室になっているし特に牛タンが美味しいらしくて今から楽しみ
「お先に失礼します」
「Aちゃん待って!」
振り返ると上司の佐藤先輩。社内一のイケメンと言われてるけどチャラいから私は苦手
「どうしました?」
「あのさ、これから焼肉でも行かね?俺奢るし」
私が返事に迷って「あー…」なんて声を出すと
「よっしゃ決まり!!行こ行こ!」
と肩に腕を組まれて連れていかれた。こういう所が苦手。佐々木さんなら絶対そんなことしないのに……
ん??今なんで佐々木さんの事考えたんだ、?
・
「ここ!めっちゃ良くてさ〜」
連れてこられたのは佐々木さんがオススメして下さった焼肉屋
「おつかれー!!」
「お疲れ様です」
あ〜1人で来たかった…それくらい雰囲気が良い。オレンジの柔らかい照明も木材の暖かみが活かされた内装も素敵
適当に注文し、佐々木さんオススメの牛タンも頼む
飲み食いしてると佐藤先輩が話し始める
「Aちゃんさ〜彼氏とか居ないわけ?」
「…いませんよ」
「へ〜〜」
なにこの人、そこまで仲良くない私にそんな質問するとか失礼じゃない?
ここでもまた頭の中に佐々木さんが過ぎってきて、佐々木さんにはこんな事聞かれてないな…なんて思う
「えーじゃあ好きな人とかは?」
「好きな人…」
ふと他の個室から佐々木さんに似ている声が聞こえた。最近私の頭の中は佐々木さんの登場回数が多いな
佐々木さんはいい人だ。佐藤先輩と違って誠実だし優しいし。でも私達はただ「添い寝だけ」の関係なんだから、好きとかそんなんじゃ……ないよね、??
私が言い淀んでると腕時計に目を移して「そろそろ出るか」なんて言う佐藤先輩
「はい」と言って2人きりだった空間から抜け出す
・
「え、」「あ…」
前に並んでた男性4人の内一人とバチリ、と目が合った。
牛沢さん…じゃなくて佐々木さん。
「なに?うっしー知り合い?」「Aちゃんの知り合い?」
「うんまぁ」 「はい、」
なんだか気まずい空気を店員さんの「ありがとうございましたー!」という大きな声がかき消す
「じゃあ」
と軽く手を挙げた佐々木さんに「はい」だなんて可愛げもない返事をして私も小さく手を振る
私達がお会計を終えて外へ出ると既に佐々木さん達は居らず、私は佐藤先輩と二人で駅に向かった
57人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こっぺ | 作成日時:2022年9月8日 0時