【実ｼ兄者】結婚なんて聞いてません！【ky】

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キヨside


「は！？Aの母さんに言ったの！？」

北海道に住む母に相談の電話をかけた翌日。まさかの内容に思わず実況の時のように大きな声で驚いてしまった

「Aちゃんも今結婚しろって上司からのモラハラに困ってるらしいのよ。それにネットとか興味ないみたいだし、Aちゃんなら信頼できるじゃない？」
「だからって勝手に親同士できめんなよ…」

好都合と言えば好都合。けど、流石に結婚だなんて大きな決断を本人であるAのいない所でしていいのだろうか

「とりあえず、住所送っとくからね」
「おー」

今の困り事を解決したい気持ちが大きくて、大人しく住所を教えてもらった


・


そんな事がありAの家に行き、事情を説明した。久しぶりに会っていきなり結婚だなんてびっくりだよな…

「勿論、形だけでいいんだ。一緒に住む訳でもないし、仕事も今まで通りしてもらっていい」

俺が真剣に伝えるとうーん、と悩むA


「分かった。私も困ってたしいいよ」
「本当に！？Aありがとう！」


優しいAには感謝してもしきれないな…


「じゃ、早速買いに行くか。指輪！」
「え！？」


・


Aside


「ありがとうございました」


勢いに任せてしてしまった、形だけの結婚
それは別に良かったのだけれどキヨくんに連れられたのは結婚指輪の売っているいかにもな高級ブランド店

シンプルなシルバーのリングを2つ買ってそのままキヨくんの住んでいるマンションへと2人で歩いていった

「財力すごいね」
「趣味貯金の人間を舐めんな」

マスクで口元は見えないけど笑うと細くなる目が懐かしくてこちらも笑ってしまった



「付けるよ？」

キヨくんの家に着き、広いリビングに通された
机の上にはリングの入った箱があり、早速先程買ったリングを私の左手薬指に付けてくれた


「これ、Twitterにあげるけどいい？」
「うん、大丈夫。上手くいくといいね」

リングをはめた2人の手の写真を撮り、慣れた手つきで投稿するキヨくん



キヨ✓⃝ @kiyo_saiore
【ご報告】この度、私キヨはかねてよりお付き合いさせて頂いていた方と結婚致しました。これからも変わらず応援していただけると嬉しいです。


「これでよし、っと」
「おぉ〜流石有名人！」

私が茶化すとやめろ、なんて笑いながらキヨくんが言った



「上司の事で困ったらいつでも呼べよ？」
「ありがとう。これからよろしく、？」










こうして私たちは「形だけ」の夫婦となった

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