【実ｼ兄者】結婚なんて聞いてません！【ky】

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「好き………かもです」


かも、だなんて曖昧な言葉が出てきてしまう私に「かも？」と、話を聞いてくれそうな雰囲気でレトルトさんが優しく問いかけた


「だって…キヨくんは昔よりもずっとかっこよくて優しくなってて……そりゃ好きになっちゃいます。でも」

こくり、と相槌を打ちながら聞いてくれるレトルトさんから目をそらす


「私なんかがキヨ君のこと好きだなんて迷惑かなって思うんです」


そう告げてからレトルトさんともう一度目を合わせる


「そんなふうに思ってるのはキヨ君のこと好きな証拠じゃん」



優しく笑いながら、でも真剣に私の意見を受け入れてくれたレトルトさん

その後、レトルトさんは「キヨくんとはいつからの仲なの？」とか、「キヨくんとの思い出は？」とか、楽しい話題へと話を逸らしてくれた。そのおかげでカフェから駅へ向かうまでは楽しく過ごすことが出来た



・



「すき……」


レトルトさんに言われるまで全く気づいてなかったキヨくんからの好意。私は「幼なじみ」という立場上「好き」という気持ちに蓋をしてしまっていた


「今すぐ好きって伝えられたら楽なのになぁ…」

はぁ、と溜息をつきながらベッドに潜ると会社の上司からLINEが来た
内容は今週末、飲み会をやるから来い。との事
直ぐに行くと返事をし、再び寝転んだ


・


そしてあっというまに週末になった

飲み会がある、とキヨくんに何気なく話したところ「あの上司からはもう嫌なことされてねぇ？なんだったらまた迎えに行くけど」と心配してくれた
「ううん。大丈夫だよ」なんて言ったけど内心嬉しくて心臓はバクバクとうるさかった

・

美味しいお酒と肴のおかげで話に花が咲く飲み会会場
上層部の愚痴やら、この前の仕事の失敗談、部下への説教など嫌なムードに突入してきて私はただただ話を受け流すことしか出来なかった



「そういえばAちゃんさぁ」


話しかけてきたのは例のモラハラ上司。キヨくんが飲み会に迎えに来てくれたおかげで急に結婚した、だなんて話を信じてくれたみたいで、あれ以降モラハラは無かったからドキリ、と心臓が跳ねた

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