君の記憶が戻るまで【sm】

shima ページ2

そんなことがあっても、時は無情に過ぎていく





彼女があんな目にあったことを信じたくない、その一心で呆然として座って待つことしか出来ないのが嫌になってくる





彼女の両親や、兄のうらたさんもきた。

うまく説明出来ない自分が本当に嫌だ。







あの時から何時間ぐらいたっていたのだろうか、手術室から一人の男の人がでてきた。

｢何とか一命を取りとめました｣


その言葉を聞いた瞬間、人生の中で1番だったのではないか、そのくらい嬉しくなった。

彼女と久しぶりに会えることが決まった時、同棲することが決まった時、そんなことでさえ軽々と超えてしまうくらいの喜びなのかもしれない


｢ですが、頭の打ちどころが悪く記憶を失っている可能性があります。｣

また、希望の光はすぐに途絶える。

記憶喪失、と言うやつだろうか。

俺との記憶を全て忘れてしまったのだろうか。一部の人を忘れるものもある、というふうに聞いたこともある。


その『一部の人』は俺なのかもしれない。そんな不吉なことが脳内を駆け巡る






｢志麻くん志麻くんっ！｣




あの時みたいに俺の名前を呼ぶAは、目を覚ましてから見れるのだろうか




｢いつ目を覚ますかは、分かりません｣


そんな言葉を告げられて数日



3日、たった今日



｢なぁ、早く目覚ましてや...？｣




ぽつりと呟いた俺の声が静かな部屋に響いた

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