By your truth-2-

58 ページ9

余計な事を言い過ぎたからか、彼はつまらなそうに星空を見上げてどうでもいい事のように言い捨てた。





◯「ふぅん。それで学校じゃ暗いキャラ演じてるわけだ？」

「別に演じてる訳じゃ…」




なにをどう言い訳すればいいのか。

祐也と付き合ってるくせに、モデルとしての可愛いと言われる自分は慶一郎だけに見せたいだなんて言える訳もなくて。




◯「取り繕わなくたって良いんじゃね？見た目をどうこうしたって、中身は変わんねーだろ」




当たり前だけど彼の言葉が全てで、結局何一つ言葉も出なかった。




◯「自分に正直でいないとさ、見失っちまうんだよ、大事なものが何か。」




彼はまるで自分が経験した事のように私を諭す。

見た目はともかく、祐也への気持ちを偽ってる現状を継続させることで見失うモノはなにか。

慶一郎を失った今は、それが何かなんて多分どうだって良いことなんだけど…




「加藤くんの大事なモノってなに？」




彼が自分にこんな言葉をくれる理由が気になって




◯「俺の大事なモノは…友達…かな」




一瞬だけ皺のよった眉間と




「友達って、祐也？」

◯「まぁ、そんなとこ」




硬く握られた拳が





「本当、二人仲良いよね」

◯「あいつの大事なモノはお前だから、俺の片想いだけど」




“そのままでいい”と言ってくれた彼の笑顔からはかけ離れていて




「片想いって辛いかも」




彼から目が離せなくなった。

59_◯→←57

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す