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97_◯ ページ48

穏やかな日々だった。

やっと想いが通じあって、堂々と隣に居られる。

最初は幸せ過ぎるくらいで怖かった。

でも、いつからだろう。

それを幸せと感じられなくなったのは。

いつの間にか、名前で呼び合うことも手を繋ぐことも当たり前になって

“愛しい”という感情は麻痺してしまったかのように

Aの全部を手に入れてからは、感情より肉体的な欲求が勝ってしまう。




◯「こうしとけば大丈夫だって」




こんな感情を抱いてしまうのが、隣で無邪気に笑うAに申し訳なくて、その冷たい手をぎゅっと握った。

でも、どんなに握ってもその手が暖まることはなくて。

それをもどかしくすら、感じなくなっていた。

親友を裏切ってまでも手に入れたかったモノは、手に入って終えば呆気ないほどに、その価値を見失わせるんだ。





「アイー!おはよ!」





その名を聞いて胸が疼いてしまうのは、二度も親友を裏切ってしまった罰で




ア「おは…」




久々の初恋の相手との再会に、胸が熱くなってしまう俺は




「え?」




絶対に離してはいけないはずの手を、むしろ振り払うように野放しにした。




ア「シゲ…アキ?」

◯「アイ…」




もう戻れない、戻らないって決めたはずなのに





ア「Aの彼氏って…シゲ…なんだ?」

「そうだけど…知り合い?」

◯「中学の時…な」





どこかで期待してしまう。

アイが、まだ俺を想ってくれてたらって。





「なんだ!ならもっと早く紹介したら良かったね!」




Aはどんな気持ちで俺を見てたんだろう。





□「アイー?午前休講?」




この何ヶ月、いや、もっとずっと前から。




ア「け…い…」




俺たちは、何のために一緒にいたんだっけ。




□「友達?っ…!」




こんな日が来るなんて、誰が予想できた?




「ごめん、先に行くね」




一番大事なモノ

それを見失うのは、こんなにも簡単なことなのか。

清算しきれなかった過去から目を背けることが、これほど難しいなんて思ってもみなかった。




□「ごめん、俺ちょっと急ぐから」




この男が、アイを捨ててA奪おうとしてる。

そんな現実を目の当たりにしてもなお、俺の足は止まったまま




◯「彼氏、追いかけねぇの?」




過去の想いを掘り返して、確かめようとしてしまうんだ。

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8nocchi(プロフ) - りゅりさん» やっぱ切なくなっちゃいました(^_^;)でも忙しい中でも読んでくれてる方が居て嬉しいです!ほんと、いつもありがとうございます♪ (2015年10月5日 0時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
りゅり - ヤバいです。もう泣いちゃいました。そして、中間試験と英検があるのに毎日チェックしちゃいます。応援しています!リ`▽´ノリ (2015年10月4日 22時) (携帯から) (レス) id: 90d6124633 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - 充希さん» いつもコメントありがとうございます!ちょっと行き詰まってたけど、頑張ります! (2015年9月3日 20時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
充希 - part2、おめでとうございます!あいかわらず8nocchiさんの作品、ハマってます笑頑張って下さい! (2015年9月3日 19時) (レス) id: 1d8072f2d8 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - ユウリさん» 40で、好きな子がシゲを好きになって、シゲもその子が好きで。だから“もう”そうはさせない、的な感じです! (2015年8月26日 23時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:8nocchi | 作成日時:2015年8月23日 0時

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