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「クリスマス、どうする?イルミネーションとか観に行く?」
◯「いいけど、A、寒いの嫌いだろ?」
シゲと付き合いだして3ヶ月が経とうとしていた。
今までは“おい”とか“お前”とかで。
名前で呼ばれるのもドキドキしたけど、今じゃ当たり前になって。
「そうだけど…行ってみたいは行ってみたいよ」
◯「じゃあこれで行く?」
私の手を包み込む温もりにも慣れきっていた。
「シゲが寒いじゃん」
◯「こうしとけば大丈夫だって」
私の手を握ったままジャケットのポケットへ滑り込ませる。
自然と密着する体からシゲの香りがするけど、そんな小さな幸せも当たり前過ぎて気に留まらない。
「アイー!おはよ!」
遠くで自分を待つ親友に、シゲを紹介しようなんて、軽い気持ちだった。
ア「おは…」
でもアイは、いつものように私に声をかけて
はくれなくて。
「え?」
握られていた手がポケットから乱暴に放たれ、空風に吹きすさまれた。
ア「シゲ…アキ?」
◯「アイ…」
ぎこちない二人の、微妙な空気に飲み込まれて
ア「Aの彼氏って…シゲ…なんだ?」
「そうだけど…知り合い?」
私の問いかけにアイが答えてくれることはない。
◯「中学の時…な」
代わりにポケットに自分の手だけを入れたシゲが、私から一歩離れて答えた。
二人の間に何かがあるのはすぐにわかるのに
「なんだ!ならもっと早く紹介したら良かったね!」
それを聞くことが、怖くて堪らなくて
□「アイー?午前休講?」
後ろから聞こえる、その声の主が誰か判ってしまう自分が恐ろしい。
ア「け…い…」
アイもきっと同じだったんだよね?
私達の出会いは、最悪の再会を招いてしまったんだよね?
□「友達?っ…!」
もう会いたくなかった。
やっと、ちゃんと整理したつもりだったのに。
「ごめん、先に行くね」
少し赤らむ親友の顔だけを見て、その場から退散した。
慶一郎の顔は見れなくて、もちろん、シゲの手を繋ぐこともできなくて。
複雑に絡み合うそれぞれの想いが、全てを壊していくことだけが判った。
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8nocchi(プロフ) - りゅりさん» やっぱ切なくなっちゃいました(^_^;)でも忙しい中でも読んでくれてる方が居て嬉しいです!ほんと、いつもありがとうございます♪ (2015年10月5日 0時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
りゅり - ヤバいです。もう泣いちゃいました。そして、中間試験と英検があるのに毎日チェックしちゃいます。応援しています!リ`▽´ノリ (2015年10月4日 22時) (携帯から) (レス) id: 90d6124633 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - 充希さん» いつもコメントありがとうございます!ちょっと行き詰まってたけど、頑張ります! (2015年9月3日 20時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
充希 - part2、おめでとうございます!あいかわらず8nocchiさんの作品、ハマってます笑頑張って下さい! (2015年9月3日 19時) (レス) id: 1d8072f2d8 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - ユウリさん» 40で、好きな子がシゲを好きになって、シゲもその子が好きで。だから“もう”そうはさせない、的な感じです! (2015年8月26日 23時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:8nocchi | 作成日時:2015年8月23日 0時