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「あるわけないじゃん」
テーブルの上に置かれるのはスープとサラダ、そして黄色いオムライス。
でもその真ん中にはケチャップで描かれる“♡”。
からかってんじゃねぇ!って言ってやりたいけど、そう出来ないのは、Aにいつものような無邪気さが無いから。
「シゲみたいに美味しく作れなかったけど、食べて?」
甘い雰囲気になんてなれなかった。
この現実をどう受け取っていいかわからなくて。
◯「こういう事は…その、彼氏とかにすんだろ」
バカみたいに浮かれて、ドン底に突き落とされるのが怖いから。
「私がシゲにするのは、ダメだった?」
初めて見る真剣な眼差しに、思わず後ずさってしまう。
◯「そうじゃなくて…いや…」
俺はまともに話す事も出来ないくらい動揺してるのに、自分じゃない自分が遠くからこの状況を見て、どう答えるのが良いかなんて悠長に分析を始めている。
言葉に詰まる俺に痺れをきたしたのか、Aは上目遣いに答えを急かすように見上げて言った。
「彼氏になってって言ったら…嫌?」
嫌な訳なんてもちろん無い。
でも、すぐに抱きしめる事も出来ない。
こいつの気持ちが自分に向いてるって確証は何一つないし…
自分の欲望と、親友を裏切る罪悪感が交互に押し寄せる。
何一つ言えないまま、隣にちょこんと座り直すAの顔も見れないまま、時計の針だけが刻一刻と進んでいた。
「シゲが好き。もう見失わないよ?一番大事なモノ。」
脳内に響く甘い声と、唇に触れる温かく柔らかな感触。
震えているのが自分なのか彼女なのかは判らない…
ただ、自分の中で音を立てて崩れ去るモノが何かは判った。
◯「もう戻れなくなるけど…良いんだな?」
どれ程の力を込めただろう。
Aの両腕を掴んで、その場に覆い被さるように押し倒した。
「もう後悔は…しない」
Aの真っ直ぐで潤んだ瞳には、俺だけが映ってキラッと輝く。
◯「させねぇ、絶対…」
後悔なんて、もう数え切れないくらいして来て。
何度傷ついて何人を傷つけたかも分からない。
でも…
◯「幸せにするから」
もう誰にも傷つけさせない。
ずっとそばに居て、Aの“一番大事なモノ”で在り続けるから。
◯「好きだよ」
俺はその愛しい人の唇を、深く、深く侵し
大切に抱きしめた。
二度と離さないように、誰にも、奪われないように。
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8nocchi(プロフ) - りゅりさん» やっぱ切なくなっちゃいました(^_^;)でも忙しい中でも読んでくれてる方が居て嬉しいです!ほんと、いつもありがとうございます♪ (2015年10月5日 0時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
りゅり - ヤバいです。もう泣いちゃいました。そして、中間試験と英検があるのに毎日チェックしちゃいます。応援しています!リ`▽´ノリ (2015年10月4日 22時) (携帯から) (レス) id: 90d6124633 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - 充希さん» いつもコメントありがとうございます!ちょっと行き詰まってたけど、頑張ります! (2015年9月3日 20時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
充希 - part2、おめでとうございます!あいかわらず8nocchiさんの作品、ハマってます笑頑張って下さい! (2015年9月3日 19時) (レス) id: 1d8072f2d8 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - ユウリさん» 40で、好きな子がシゲを好きになって、シゲもその子が好きで。だから“もう”そうはさせない、的な感じです! (2015年8月26日 23時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:8nocchi | 作成日時:2015年8月23日 0時