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冬の寒さはなかなか和らぐ事はなく、その朝も酷く冷え込んだ。



「もう行くの?」




久々に貴久の部屋の窓が開いてる。

でもきっと、その窓が開くのは今日で最後。




▽「おう。」




段ボールが積み上げられた閑散とした部屋の中で、貴久は細々した物をリュックに詰めながら答えた。




「貴久、大丈夫?」




新たな門出だと言うのにイマイチ浮かない顔。

新たな環境への不安なんだって思いながら声をかける。





▽「お前こそ、起きれんのかよ」




いや、もしかしたら自分への問いだったのかも知れない。

すぐそばでいつも味方になってくれる貴久が
居なくなるって不安を、どうにかして払拭したかったんだ。



「ちゃんと起きるよ」




そう答えるのが精一杯で。




▽「ちゃんと学校行って、受験勉強頑張れよ」




目の前が真っ暗になる。




▽「な?」




頭に乗っかる手は、いつの間にかゴツゴツと大きい男の手で




「うん…」




でも昔から変わらず、暖かくて優しい。




「貴久っ…」




次はいつ会える?

帰ってくる?

私達、これからもずっと、幼馴染だよね?



…私のこと、忘れないよね?




▽「じゃあな」




そう問うことすら許されないのか、貴久がこっちを向いてくれることはなくて。

まだ冷たい春の風がカーテンを揺らし、机の上には置き去りにされたお菓子の箱からは白いメモが飛んだ。




__袋から出して振ったら、暖かくなるから__




「そんなの知ってるよ、バカ」




貴久なりの優しさがたくさん詰まった箱に向かって、思わず呟く。

雑で、乱暴で。

でも、溢れんばかりに沢山入れられたカイロは、封を開けなくたって暖かかった。

90_◯→←88_▽



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8nocchi(プロフ) - りゅりさん» やっぱ切なくなっちゃいました(^_^;)でも忙しい中でも読んでくれてる方が居て嬉しいです!ほんと、いつもありがとうございます♪ (2015年10月5日 0時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
りゅり - ヤバいです。もう泣いちゃいました。そして、中間試験と英検があるのに毎日チェックしちゃいます。応援しています!リ`▽´ノリ (2015年10月4日 22時) (携帯から) (レス) id: 90d6124633 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - 充希さん» いつもコメントありがとうございます!ちょっと行き詰まってたけど、頑張ります! (2015年9月3日 20時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
充希 - part2、おめでとうございます!あいかわらず8nocchiさんの作品、ハマってます笑頑張って下さい! (2015年9月3日 19時) (レス) id: 1d8072f2d8 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - ユウリさん» 40で、好きな子がシゲを好きになって、シゲもその子が好きで。だから“もう”そうはさせない、的な感じです! (2015年8月26日 23時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:8nocchi | 作成日時:2015年8月23日 0時

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