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84_◯ ページ35

昨日の手越はおかしかった。

球技大会の打上げもソワソワして、途中で抜けようなんて言い出して。

挙句、帰り際に残した言葉は妙な含みがあって。

それをなんの気なしに流してしまった自分に、翌朝俺は酷く後悔する。




“手越なんだけど…来月からイギリスに留学する事に決ったんだ”




空席だった手越の席を見ながら、担任が残念そうに言った。

その空席を切なそうに眺めてるだけのAと、自分に何も言ってくれなかった手越に怒りが込み上げる。

イラついた俺の手を引いてAは教室から出た。



ーーー



校門を飛び出し、小走りに大通りまでの道を進む。

通りを行き交う人々が、制服姿の俺たちに好奇の目を向けるも、Aは息を弾ませながらまっすぐ前だけを見て話し始めた。




「シゲごめん、私知ってた。祐也の留学のこと。でも知らないふりしてたの。
祐也がいなかったら、シゲと一緒にいられないと思ったから」

◯「それって…」




歩く足も弾んでるはずの呼吸も街の喧騒も、全てが一瞬にしてフリーズする。




「シゲが…好きだから」





こんなタイミングで聞く話じゃない。





◯「今の、聞かなかった事にするわ」




煩いくらいに鳴り響く鼓動がAに伝わってしまわないように、踊り出しそうな胸を必死で抑えつけた。



“俺は…誰にも渡したくない。”



手越の言葉が、耳の奥で幾重にも響いて離れなかったから。



◯「あいつを傷つけてまで、お前が欲しいなんて言えねぇし」




俺に課せられた役割は




◯「あいつが戻るまでは…変わらずにいような?」




Aをそばで支えること。




「見送り、一緒に行ってくれる?」




そこに、好きとかそんな感情は




◯「当たり前だろ」




存在しちゃいけないんだよな?

85→←83_♡



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8nocchi(プロフ) - りゅりさん» やっぱ切なくなっちゃいました(^_^;)でも忙しい中でも読んでくれてる方が居て嬉しいです!ほんと、いつもありがとうございます♪ (2015年10月5日 0時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
りゅり - ヤバいです。もう泣いちゃいました。そして、中間試験と英検があるのに毎日チェックしちゃいます。応援しています!リ`▽´ノリ (2015年10月4日 22時) (携帯から) (レス) id: 90d6124633 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - 充希さん» いつもコメントありがとうございます!ちょっと行き詰まってたけど、頑張ります! (2015年9月3日 20時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
充希 - part2、おめでとうございます!あいかわらず8nocchiさんの作品、ハマってます笑頑張って下さい! (2015年9月3日 19時) (レス) id: 1d8072f2d8 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - ユウリさん» 40で、好きな子がシゲを好きになって、シゲもその子が好きで。だから“もう”そうはさせない、的な感じです! (2015年8月26日 23時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:8nocchi | 作成日時:2015年8月23日 0時

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