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▽「お前が楽になれる方に、今は流れちゃっていいんじゃない?」





貴久はいつだって自分のことより私を優先させてくれて、さっきだって私が泣いたせいで夏希さんから隠れるように寝たふりなんてしてて。

私に貴久がそこまでしてくれるのは幼馴染という特権。

貴久がずっと恋愛をして来れなかったのは、少なからず私の存在が邪魔しているからだとは重々理解はしてる。




「それが貴久でも?」




私がいつまでも貴久から離れられないのは、私のあざとさにも、貴久は目を背けずに向き合ってくれるからだ。




▽「いいけど」





一瞬、終始笑顔だった貴久の顔が真剣になって、それが何故か怖く感じて。




「ははっ、冗談!帰る!」




冗談めかして、とんでもない事を言ってしまったと今更反省した私は、慌ててベットから降りた。




▽「ん、気をつけて帰れよ」





私を見ずに声だけをかける貴久はさっきとは全く違ってフワフワしていて、保健教諭の椅子にどっしりと座っている。





「夏希さん、心配してるよね。連絡したほうがいいんじゃない?」




次の言葉も見つからないまま、当たり障りの無い話をしたつもりだけど




▽「お前が気にすることじゃないから」




背中を向ける貴久が何を考えてるのかは分からない。




「そっか。なんか、いろいろありがと!じゃ、行くね」




急に居心地の悪さが漂う保健室に、それ以上の長居は出来ず、急いでドアに手をかけた。




▽「なぁ、A」




扉を開けると同時に、呼び止められる。

でも、貴久に振り向くことはしなかった。




夏「Aちゃん」




貴久の幸せを壊すようなこと、しちゃいけない。




夏「貴久、いる?」

「はい、奥に。じゃあ、私は失礼します」




いくら幼馴染でも、それだけは絶対に許されないから。

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8nocchi(プロフ) - りゅりさん» やっぱ切なくなっちゃいました(^_^;)でも忙しい中でも読んでくれてる方が居て嬉しいです!ほんと、いつもありがとうございます♪ (2015年10月5日 0時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
りゅり - ヤバいです。もう泣いちゃいました。そして、中間試験と英検があるのに毎日チェックしちゃいます。応援しています!リ`▽´ノリ (2015年10月4日 22時) (携帯から) (レス) id: 90d6124633 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - 充希さん» いつもコメントありがとうございます!ちょっと行き詰まってたけど、頑張ります! (2015年9月3日 20時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
充希 - part2、おめでとうございます!あいかわらず8nocchiさんの作品、ハマってます笑頑張って下さい! (2015年9月3日 19時) (レス) id: 1d8072f2d8 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - ユウリさん» 40で、好きな子がシゲを好きになって、シゲもその子が好きで。だから“もう”そうはさせない、的な感じです! (2015年8月26日 23時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:8nocchi | 作成日時:2015年8月23日 0時

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