By your truth-2-

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◯「大事な人がいるんだろ？」



加藤くんは、慶一郎のネックレスに視線を送りながら言った。

普段一緒に居なくたって判ってしまうくらい、私はもう自分の気持ちを隠せなくなってる。



「もう…何が大事かわかんないよ…」




大事にしたかった。

傷ついた祐也のそばに居てあげたかった。

この気持ちは無かった事にするつもりだったのに。

両方失いたくないなんて、都合のいい事を考えてしまったばっかりに

結局は両方傷つけてしまった。




◯「一番大事なのは…お前の気持ちだから。ちゃんと伝えろよ。そいつにも、手越にも。」




もう終わりにしよう、

誰かを想うのも、縋るのも。

一番大事なモノなんて、きっと選べない。

選んじゃいけないんだ。




「ありがと…ごめんね。」




この気持ちをちゃんと伝えて、整理するんだ。

慶一郎を愛せた事に、ありがとう と。

祐也のそばにいられなかったら事に、ごめんね と。

大切な事に気付かせてくれた加藤くんに、ありがとう と。





◯「謝んなよ、別に何もしてねぇし。」




加藤くんは、恥ずかしそうにプイッと外を眺めて、ガタンと立ち上がって鞄を手にした。




◯「手越にここで待ってるって伝えとくわ」

「うん…お願いします」



一人になった図書室。

祐也を待つ最後の時間。



もう誰も傷つけないと心に誓って、扉が開く音に耳を傾けた。

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