82〜妹side〜 ページ33
慶「困ったな…とりあえずコレ羽織って」
自分のジャケットを私のぬれた服の上からかけてくれる先輩。
柔軟剤の優しい香りと脱いだばかりでまだ温もりの残るジャケットに、私の心臓はまた激しく鳴る。
往生際が悪いって自分でも解るけど、先輩の頬を伝う雨の雫が色っぽくて、ただそれに見惚れてしまうんだ。
単なる夕立だと思っていた雨はどんどん強さを増す。
もう帰ったほうがいい。
もうこんなの続けるなんて無理だって言われてみたいに感じて、それが寂しくて。
気がつくと、雨じゃない熱い雫が頬を伝った。
慶「外に出よっか。どっか雨凌げる場所探そう。」
一目も憚らず涙なんて流す私を恥ずかしく思ったのか、先輩はまた私の手を取って退場ゲートへと足を進める。
外に出ても、ずぶ濡れの私たちを快く迎えてくれるお店なんてあるわけなくて、途方にくれた。
“帰ろう”
その言葉を先輩は待っていると思う。
でも私の口からその言葉が出ることは無い。
帰ったら、もう先輩の隣を歩くことも、あの優しい声が自分の名前を呼んでくれることもなくなっちゃうから。
そんなの、遥花の代わりになるより辛いから。
先輩に帰ろうって言われるのが怖くて、まだ一緒に居たいって欲が出て…
「あそこ…入りませんか？」
近くに見えたホテルの看板を指差した。
慶「えっ…でも…」
雨を凌ぐだけ、服を乾かすだけ。
ちょっと雨宿りしたらすぐ帰るから。
このままだと先輩に風邪を引かせちゃうから。
心の中に幾つも言い訳を並べて、戸惑う先輩の手を引いた。
引くよね。
ついこの間、初めてまともに話したような仲なのにドン引きだよね。
好きでもない人とホテルなんて行きたくないよね。
でも、私は先輩が好きなんだ。
お姉ちゃんの元彼だって、軽い女って思われたって…まだ先輩から離れたくないよ。
ずっと歩きたかった先輩の隣、繋いでみたいって何度も願った手が、ようやく空いた。
ダメだって頭で解ってても、体は離したくないって動く。
神様、もう少しだけ、夢をみさせてください。
一緒に居られるだけでいい、先輩が欲しいなんて…これ以上、欲は出さないから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
8nocchi(プロフ) - Noaさん» ごめんなさい！睡魔が…今下書き中なので更新は朝になるかもです (2015年3月30日 1時) (
レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - Noaさん» うそっ…いや、虫刺されと信じましょ！ (2015年3月30日 1時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
Noa(プロフ) - 手越の首の下のとこにキスマークがあったんですよ(T ^ T)もしかしたら虫に刺されただけかもですが(T ^ T)次からコメントは3に書きますね！ (2015年3月30日 0時) (レス) id: a66ac42015 (このIDを非表示/違反報告)
8nocchi(プロフ) - Noaさん» キスマ？ (2015年3月30日 0時) (レス) id: 2b2618977d (このIDを非表示/違反報告)
Noa(プロフ) - ありがとうございます！！(●･v･○)ﾉ そういえば、手越にキスマがあってちょっとショック受けてる← (2015年3月29日 23時) (レス) id: a66ac42015 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：8nocchi
| 作成日時：2015年3月19日 14時
