兄の取扱い説明書 ページ5
だけども。
私ももう28歳なんです。
さすがに、34の兄にあーだこーだ言われるほど子供ではないし、
正直、こんな兄妹きもい。
「とりあえず、ええとこ見つけて早よ引っ越せよ」
ため息まじりに
ソファーにどかんと座って、
王様気取りは昔から変わらず。
引っ越す気は全くないけど、
お兄ちゃんのご機嫌も取らないと。
「はーい。
でも…ここ、ええやろ?」
「は?」
「目の前コインパーキングやし、
お兄ちゃん車停めるの困らんくてえぇなぁ〜って思ってん♪」
ここで飛びっきりの笑顔。
必殺・兄殺し。
(母・妙子命名)
「…あほか。
お前んとこ来るときは大体酒飲むから
車でなんか、けーへんわ。」
そうは言いますが、お兄様。
顔が嬉しそうですよ。
伊達に28年妹やってません。
渋谷すばるの取扱い説明書は頭に叩き込まれております。
「そっかー。
ま、いつでも来てよ。」
嘘じゃなくそう思ってる私も
まだまだ相当なブラコンなのは自覚済み。
ちらっと腕時計を見ると、
「ん、じゃ今日は帰るわ。
まだ仕事あんねん。」
そう言って立ち上がった。
そうだったんだ、
ほんとに家見に来ただけだったんだね。
「じゃ、知らん奴きたら絶対開けんなよ。
俺は来る前電話するし。
チェーン掛けろよ。」
そんな、
小学生がお留守番前に言われるような発言をしながら帰り支度を始めた。
玄関のドアの前に立つ兄を見送ろうとした、
その時。
一言だけ。
私に背中を向けたまま、
一瞬躊躇するような間で、言った。
「お前さ・・。」
「亮にはもう、
会わへんの?」
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作者名:∞mii∞ | 作成日時:2015年9月27日 21時