気まずい２人 (ページ38)

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帰宅ページ38

新大阪駅から東京行きの新幹線に乗って、
荷物を網棚に乗せ席に着くと、
携帯がメールの着信を告げた。

「まだ現場やけど７時過ぎには帰れるから
家入っといて」

実家を出る前にお兄ちゃんに今日家いる？って
連絡した返事だった。

網棚には
お母さんから託された大量のお惣菜が入っている。
「お兄ちゃんおらんかったら、
A食べて。」

って、安定の息子好き。

お兄ちゃんちの合鍵、というかカードキーは
持たしてもらってる。

品川からだと
お兄ちゃんちの方が近いし、
直接このまま行こうかな。

昨日は
横ちゃんが帰ってからも、
話が頭から離れなくてなかなか寝付けなかった。

社会人になって
慌ただし過ぎるほどの時間が過ぎて、
仕事と海外生活に慣れるのに必死過ぎて、

ほとんど自分のプライベートについて
考える時間なんてなかった。

それが、
日本に戻ってきてから、
亮くんのことを思い出す機会が、
多すぎる。

それもこれも、
お兄ちゃんがあんなこと言うからだ。

いや、
横ちゃん曰く、
私のせいみたいだけど。

…

ふと、
思い出したような感情は、
なんだか思い出してはいけないような気がして、
慌てて蓋をした。

東京まで、
ちょっとだけ眠ろう。