気まずい２人 (ページ12)

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14年前ー4－【亮side】ページ12

『そや！これ！』

俺はそう言って財布から１万円札を出して
レジ横の机に置く。

『これ、俺からのカンパ。
あの子の貯金箱に入れといたってや。』

白い封筒を指さす。

「え、亮なんなん、あかんで、あの子中学生やで！」

圭さんが大袈裟にのけぞる。

『あほ、そんなんちゃうわ。
俺からとか言わんでいいし。
なんか、純粋でかわいらしかったやん。』

ほんの出来心やった。
単純にええ話やなって思ったし、
最近全然会ってない妹のこと思い出したのもあるんかな。

圭さんは腕組みしてうーん、と言いながらも
「ま、じゃあありがたくもらっとくわ。」

と言って、封筒に１万円をしまった。
そして、
表にボールペンで「9/6 亮１万円」
って書いた。

『ていうか圭さん２５で”おっちゃん”って。』

「中学生からしたら２０過ぎたやつらはみんなおっちゃんやろ。」

こういうたわいない会話ができるから、
大阪はほっとしてまうねん。

それっきり、
すっかりこの出来事も女の子の顔も頭から消えていた。