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『え……』
鬼を抱きしめる彼を見つめながら自分でも驚くほど間抜けな声が出た
『た、炭治郎さん。何を勘違いしているのか分からないですが、それは鬼ですよ!』
何か勘違いでもしているのか?
鬼と人間が──そんな事ある筈が無い
だが炭治郎さんはずっと鬼の頭を撫で続ける
すると鬼は安心でもしたかのようにゆっくり瞼を閉じ、寝息をたてた
『ねえ、炭治郎さん!』
私は何故だかその様子に無性に腹が立ってしまった
今度は彼の腕を掴みながらもう一度呼びかけた
だが
「禰豆子が起きる。外で話そう。」
炭治郎さんは私を睨みつけた
「どうしてあんな事したんだ!」
先程までいた部屋から庭に出た瞬間に彼は私の肩を掴んで揺らした
炭治郎さんの声はいつものような優しいものではなかった
私のことを憎むような、恨むような
まるで姉様が私に向けるかのような怒気を孕んだ声だった
『何故… どうしてですか!鬼は人間を喰う、だから私たち鬼殺隊がいるんですよね?違いますか!』
だが私とて負ける気は無い
私は頑張った
怒られる理由なんてあるものか
「禰豆子は人を喰わない!」
彼の言葉に私は少し動揺した
どういう事だ
人間を喰わないだと?
そんな事あるはずがない
『人間を喰わない鬼なんているはずがない!』
「禰豆子は違うんだ!禰豆子は───」
まだ弁解を続けるのか
『っそもそも人間を喰うか喰わないかなんて関係ない。鬼は存在すること自体が罪なの。生命を脅かされる可能性のある危険分子を殺そうとして何がいけないのよ!?』
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re-to(プロフ) - 気づいたら目から涙が流れてました。誰も幸せにならない話は久しぶりに読んだので色んな人の気持ちを考えるとすごく辛くなりました。とてもいい話を書いてくださりありがとうございます。 (2022年6月10日 21時) (レス) @page36 id: 15c8ca49bf (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - 妹ちゃん…。なんていうか、鬱になる終わり方でしたね。姉に認められたい、皆に認められたいだけどその期待に答えられなかった。辛いですよね…。今回はしのぶちゃんが凄い嫌な感じって言ったらいいのかななんか凄くて私なら恨みそうです。私なら鬼になりたいって思う (2021年9月27日 23時) (レス) @page36 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
まチョコ - しのぶさん…本当はこんなことしたくなかったんだろうな…。本当は妹として…認めたかったんだろうな。悲しい。頑張ってください。 (2021年9月27日 21時) (レス) @page34 id: b9e98ac7b6 (このIDを非表示/違反報告)
mitunari1985(プロフ) - す、凄い鬱になる…のに何回も読んでしまうのは何故なんだ…この世界線のしのぶさんカナエさんにガチギレされるのでは?自殺に追い込んでる訳だし、皆んなと結託して攻撃してるしなぁ (2021年5月25日 0時) (レス) id: a4d6628367 (このIDを非表示/違反報告)
パッショーネ・バルサン - 貴様っ(ジョジョを)見ているなっ! (2020年6月25日 20時) (レス) id: e3cb6683f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小夜子 | 作成日時:2020年1月27日 17時