ギャップ ページ37
梅雨も明け蝉の声がそこかしこで聞こえる今日この頃。いちはちはAが外を眺めているのを見つけた。
いちはち「何見てるの？｣
窓辺にぺたりと座り込んでいるAの横に座った。
「道路を眺めてます。いい天気だから。」
いちはちが確認するまでもなく外は大雨だ。ザーザーと雨がコンクリートを打ち付ける音が耳に届く。
いちはち「雨が好きなの？」
まてよ、とそこで疑問に思った。雨が好きなら眺めるのは道路ではなく空ではないか。
「正確には大雨です。雷も結構好きです。」
当たってたんだ、と心の中で突っ込んだ。
いちはち「へえ、珍しいね。」
なんとなく女の子は雷とか苦手そう、と思っていたので少し意外ではあるが、普段のAの様子を見るに適当なものでは動じないのだろう。納得できる。
「今日、近くで花火大会あるらしいんですけどこの天気じゃ延期ですかね……。」
Aが残念そうに言った。スマホを見ている様子からおそらく花火大会の延期が決定していないか確認しているのだろう。
いちはちは時計を見た。午後3時をまわったところだ。
いちはち「延期、しないといいね。」
「そうですねー……。」
Aといちはちの願いが届いたのか、延期のお知らせはなかった。
晩ごはんを食べ終えると、遠くから ドーン、ドーン、と音が聞こえた。
しるこ「なに？何の音？」
いちはち「花火大会じゃない？今日近くでやってるんだって。」
ミントス「近いなら見に行きますか？折角なんで。」
かるてと「おー！いいっすね！」
意外にもAが渋い顔をした。
「花火なら三階からでも……。」
じらい「でも調べたら車で10分くらいのとこじゃん！折角だし行かない？」
A以外がだいぶ乗り気なのもあり、Aも承諾した。
じらい「おーすごーい！」
はこたろ「けっこうな数の花火打ち上げるみたいだね。」
いちはちはふと、Aが花火が打ちあがるたびに身を小さくしていることに気付いた。
いちはち「Aさん？」
そっと話しかける。
「何ですか？花火すごいですね。」
そう言いながらもAの手はがっちりと腕を掴んでいる。
いちはち「……花火、もしかして怖い？」
Aがバツが悪そうに笑う。
「音が、ちょっと。」
雷は問題ないのに花火がダメとは。
いちはち「俺の手でよかったら貸すよ。」
Aが控えめにいちはちの腕を掴んだ。
「……助かります。」
意外なかわいらしい一面だった。
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みき - 何回も読んでます、素敵な小説ありがとうございます！これからも頑張ってくださいね、応援してます。 (2022年8月21日 17時) (
レス) id: 17c35a2d90 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - ましゅまろさん» わわっ無知晒してましたありがとうございます！直ちに修正いたしました！本当にありがとうございます！！ (2022年4月2日 19時) (レス) id: a66dababca (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろ - 『お庭で』のお話で『沈丁花』という言葉が出てきたんですけどふりがなは『ちんちょうげ』です。細かくてすみません。！ (2022年4月2日 15時) (レス) @page18 id: bcf7c7e9de (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - ねぎしさん» ねぎしさん、コメントありがとうございます！なんと……！それは光栄です！ぜひ一緒に応援していきましょう！ (2021年10月20日 17時) (レス) id: a66dababca (このIDを非表示/違反報告)
ねぎし - あっ、私も雷平気ですが花火は無理っていう…夢主ちゃんと同じですね、運命かn(((面白かったです！私実はまめこさんの小説見てからBin TRollさんの動画見始めたんです！！つまり、Bin TRollさんの動画見始めたきっかけはまめこさんだったんですよ！（話のオチは…） (2021年10月17日 15時) (レス) @page37 id: 28dad0896f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ | 作成日時：2020年7月12日 12時
