1.忘れた ページ3
｢ただいま。｣
｢Aーっ！おっかえり〜！｣
がちゃ、と玄関のドアを開け室内に入るなり、抱きついてくる兄、百瀬。
｢わっ…お兄ちゃんここでダイブはやめてってば｣
そう言いながら背中をぽんぽんと叩く。
買い物した荷物を落としてしまったではないか。
ももりん開ける時大変なことになるな。
｢あはは、ごめんごめん！今日は晩御飯一緒に食べられそうだから嬉しくてつい！｣
離れてはにこやかにそう言う。
我が兄ながら可愛い。
それはそうと、久しぶりに晩御飯を一緒に食べられると思うとわくわくして仕方ない。
今夜は麻婆豆腐にしようとしてたんだけどな。
｢夜何食べたい？｣
｢じゃあ…ハンバーグ！｣
はーい、と挙手しながら告げられる。
本当に成人してるのかと妹の私ですら疑うくらいだ。
｢ん。分かった。時間かかるけど待っててね。｣
荷物を置いてはエプロンを着けキッチンに立つ。
一応制服だから汚さないようにね。
私服ならエプロンは着けない。
しばらくして、ハンバーグが出来上がるとスクバを持って自室へと行く。
隣の兄の部屋からは何やら電話の声が。
｢えー？うそうそ！大丈夫だって！｣
何の話をしているのかは分からないがまぁもう少し声を抑えてほしい。
絶対に言わないが。
｢…さて、和泉くんにノート見せてもらっ…た………｣
見覚えのないノート。
表紙には和泉一織の文字が。
これは…。
｢返さないと…。｣
隣から声が消えたから隣の部屋に行ってみる。
少しドアを開けて中の様子を見てみると意外にも綺麗な部屋。
自分の部屋だからなのか。
私の存在に気付くと兄が首を傾げてみせる。
｢あれ？Aどうしたの？｣
｢っ…和泉くんのノート間違って持って来ちゃった…｣
返しに行きたいんだけど、とおずおずと呟くと笑顔でじゃあ車で連れてっちゃうよ！と鍵を取った。
｢あ、ありがとっ…!!｣
ぎゅ、と抱きつく。
すると抱きとめてくれる兄。
めちゃくちゃイケメン。
“ピーンポーン”
と機械音を鳴らす。
やってきたのはIDOLiSH7の寮。
すると出てきたのは二階堂大和さんだった。
｢…どちらさん？ファンの子か？｣
｢…いえ、夜分遅くにすみません。和泉一織さんと同じクラスの春原Aと言います。ノート返し忘れたのでお返しに来ました。｣
すると彼を呼ぶから中に入れと言われた。
渡したらすぐに帰ろう。
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作者名：ふらっと♭ | 作成日時：2018年1月30日 21時
