私をひとりにしないで

40 ページ41

ryosuke side









「侑李！分かる？分かったら手握って！」





辛うじて帰ってくる握り








「かなり弱ってる。油断したら、侑李は確実に死ぬ。心臓の動きが弱い、一刻も早くオペだ。」









その言葉から何時間経っただろうか。







今も尚、手術室のランプは点灯したままで。









「どうしよ...侑にぃ、」



「大丈夫、侑李だぞ？大丈夫だから。」



「私、何もできなかった。ただ突っ立ってるだけで侑にぃの苦しんでる姿見たくないって言ったのに。これじゃただの邪魔者じゃんっ...」



「最初は皆そう。空回りして何もかも上手くいかなくて逃げたくなる。でも俺たちを待ってくれる人がいる。逃げちゃいけないんだよ、医者は。」









泣いてるAの側にいるのが俺だなんて昔じゃ信じられないが、今はそれくらいしかできなかった。









「侑李なら大丈夫。絶対だ。」









.






.






.









やがて手術室のランプが消えて宏太が出てきた。









「宏......にぃ。」




「今はまだ目を覚ますかなんて俺にも分からない。だが一命は取り留めた。でも油断はできない。言うが、いつ死ぬかも分からない。」




「頑張ってくれて、ありがとう..。」




「ずっと、側にいてやってくれ。それだけで侑李は安心する。生きてるんだからAが側にいるだけで全然違うんだ。」

41→←39

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す