約束 ページ1
高校卒業して、それから頑張って働いてそれなりにお金が貯まってもまだお互い結婚してなかったら、オーストラリアで一緒に暮らそう。
そう約束したのは、高2の夏。
珍しく、セミが鳴いていない8月の下旬の事だった。
「神ちゃんはさ、これからどうすんの?」
体操着の入ったカバンをポンポンと足で蹴りながら、問う少年。
神ちゃん、と呼ばれたもう1人の少年は笑顔で言った。
「俺、音楽好きやからなぁ……音大とかええなって思うけどなぁ…しげは?」
夢盛りの10代とは思えないほどの虚ろな目で語る神ちゃん改め神山智洋。
その横顔を下からじっと見つめて、
「そっか。俺はなぁ学校辞めるかもしらんし。」
と笑顔で言うしげ、と呼ばれた少年。
「え、辞めるん?」
「おん。だって、楽しくないやん。」
即答で答えたしげ改め重岡大毅は、駅へ向かう足を止めて神山に言った。
「あのさ、一緒に死なん?」
神山は戸惑う。
別に、この人生に楽しいなんて思いも辛いなんて思いも抱いていなかった。
神山は与えられた幸せを十分に受けて育った。
だがそこに、何一つ感情はなかった。
『生かされてる。』
この言葉は俺のために生まれてきたのではないかも言う程。
だが、いざとなると死ぬのは怖い。
神山はそっと笑って言った。
「あんさ、」
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作者名:ちょう | 作成日時:2021年10月20日 20時