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嘘だね ページ13

包帯の雑渡さんに「ついてきて」と
言われて今は山道を歩いている。

「君はそんなに大川平次渦正を殺したい?」

さっきまで黙っていたのに急に質問されたので、一瞬思考が止まった。
雑渡さんは真顔で遠くを見ている、真顔といっても瞳しか見れないけれど。


「もちろん、殺したいですよ。今にもすぐにでも」

「嘘だね」

ひどく冷めたその一言に頭に
血が上る

「嘘ではありませんッ!私は
本当にッ…」

「やつを刺す時、一瞬君は、手を止めただろう。その手を止めなければ、確実に刺せた。
一瞬止めたから、失敗したんだ。」

違う。私は手を止めてなんかいない。
本当に殺そうとした。人を殺すこと。
覚悟していた。刃物もぎゅっと握っていた。

「君に人を殺す覚悟が出来ているとは考えられない。」

心臓にひどく突き刺さるような言葉に
つらくて涙が零れた

「…そ、なこと…。」

「嗚呼…泣かないでおくれ。
その、私が言いたいのはだな………

いや、いい。殿がお呼びだ。早く行こう」

申し訳なさそうな顔を浮かべた雑渡さんは
さっきより少しペースを上げて、足音を立てずに歩き始めた。

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作者名:優奈 | 作成日時:2023年8月31日 0時

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