脱出 ページ12
「こんな穴の中にいるなんてね」
片目以外は包帯で隠されていて見えないけれど、声は一緒。私は覚えている
「あ、貴方は…命の恩人さん。」
城が燃えたあの日、私を城から
助け出してくれたあの人。
今、私の真上にいるのは、間違いなく
あの人だった
包帯が増えているけれど
「私は命の恩人さんではなく、
雑渡だよ。君を助けに来た」
「どうして…私を?」
「君の目的を果たすために、協力する」
ドキッと胸が騒ぐ
雑渡さんは、協力する。と言った。
協力してくれるのは有難いことだが、
一体どうして、何の利益があってか、私に協力する「理由」が見つからない。
私は一度黙って、また口を開く
「なぜ、私に協力を?」
「協力…といったが、正しくは君を
_利用する為に協力する」
雑渡さんは私を深い穴から
外へ出した。
後日忍術学園はまた騒がしくなっていた
「おい!あの女がいねぇぞ!」
「喜八郎、お前ちゃんと入れたんだよな?」
「入れたけど…」
昨晩縄で拘束し、深い深い穴に入れていた
女が、消えていたのだ。
その事実に綾部喜八郎は疑問を抱く
確かにあの時は女は穴の中だった。
「協力者がいる…?」
女が自分から穴から這い上がるのは
不可能といっていい。だが、
穴から出たということは、誰れかが
助けたとしか考えられないと思った
そう、女を協力する者がいる
「食満先輩、ちょっといいですか」
頭を抱えて「なぜいない!」と苛立っている
先輩に 「協力者の可能性」 を喜八郎は話した。
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作者名:優奈 | 作成日時:2023年8月31日 0時