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↓part2 ページ25

ある日の帰り道、いつもの木の先で黒い影は隠れている


木のそばに、青い花で作った冠がポツンと置いてあった


(これ、この前の…)


私は嬉しくなって、向こう側にいる黒い影に話しかけようとした


しかし、声は出なかった


ダメなのだ、




私は、私たちは出会ってはいけない




わかってる、頭ではわかってる



きっと出会ってしまったら最後なんだって



木に背中を向けて、座り込んだ



冠を頭に乗せて、空を見上げる



私ができることは、これで精一杯だった



君がそこに居ると感じる、それだけでいい









俺たちは決して目を合わせることはなかった


それでも俺はやっぱりこの木に行き着いてしまう


あの子が気づかないふりをして通り過ぎる



それだけでいいんだって、思うから



今日もあの子はこの道に来るだろうか



あの子のために、赤い花を摘んできた



(喜んでくれるかな、喜んでくれるといいな)



ガサッと音がすると、あの子の足音が近づいてくる



心臓が張り裂けそうにバグバクとなっている



いつもそうだ



俺の木の前で足音は止まり、それから何も音が鳴らなくなった


いつまで経っても、音沙汰ないので俺は心配になった


気づかれないようにそっと後ろを見てみると、ギョッとした


赤い花を持ったまま、両手を顔に当てて震えている


耳をすませると、小さな嗚咽も聞こえてきた


(泣いてる…?)


華奢な肩が小刻みに揺れているのを見て、心臓が押しつぶされそうになった


無意識にあの子に向かって手が伸びる


しかし、腕は震えて宙を舞った



(できない、君を慰めることなんて俺には…)




こうやって同じ空間に居られるだけでいいなんて強がったけど、本当はそんなことで満足できない


君の瞳と俺の瞳が合うことができたら



震えている肩を抱きしめてあげられたら



一言でもいいから話せたら



本当は君に会いたくて仕方ないんだ



(だけど、できねぇんだよ)



手を見ると、鋭い爪が伸びている


どんなに頑張ってもこの爪も牙も消えてくれない


俺はどうやったって狼で、君は人間なんだ



俺たちは絶対に結ばれない運命で…



俺まで泣きそうになりながら、やりきれない思いと一緒に手を握りしめた




何もできない、触れられない、視線も合うことはない






だから俺はただこの木の先で待ってる




君が泣き止むまで、ずっと……





end

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関連タグ:WEST. , 特撮 , SEVENTEEN , strm , snowman , CR
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作者名:ひな x他1人 | 作成日時:2018年5月1日 0時

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