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set 1夏祭り 【九条天】 ページ1

この季節になると思い出す




君の浴衣姿、君の表情、声、




どれをとっても鮮明に思い出せる




僕の心はまだあの夏のなかに置き去ったままだ








_______
____
___


5年前



「天!!ごめん、待った?」



「今、来たよ」



Aを夏祭りに誘った



小学校低学年くらいからちょくちょく同じクラスで、自然と話せる女友達のような存在だ




いつもだったら、こんなふうにAを誘えないだろう




誘えたのは、こんなことができるのは多分今日までだから…




「ねぇねぇ!どこ回る?私、かき氷食べたいなー」


女の子らしい赤とピンクの浴衣を見にまとい、髪を上にまとめている彼女はいつもと違う雰囲気で釘付けになる


追い討ちをかけたようにふわりといい匂いが鼻をくすぐる



『ふふっ、Aの好きなところでいいよ』



くるくると表情が変わるAが可愛くてつい笑ってしまう



一個百円と書いた看板のかき氷店に早速行った




「えーと、ブルーハワイください!」



『じゃあ、イチゴで』



お金を渡し、それぞれかき氷を受け取った




「つめたっ、おいしーっ!」



『そうだね』



黙々と食べていると思ったら、Aは僕のことをじっと見つめた



『これ、欲しい?』


僕の食べているイチゴ味のカキ氷をAに近づける



「いいの!?」


キラキラと宝石のように目を輝かせた



僕のカキ氷を渡そうとした瞬間、Aは「あーん」といいながら口を開けた



もしかして、僕が食べさせろってこと?



まあ、いいけど…



サクッとカキ氷をすくい、Aの口のなかへ入れる



「やっぱりイチゴもおいしいねー。天、どうかした?」



【それ、他の人にはやらないでよね】


そんな言葉が出かけたけど、僕にはそんな資格はないので口を閉ざした





「んー、次はどこいこうか」



それからカキ氷を食べ終わると、辺りは一層人が混むようになった



これじゃ一回はぐれたら、探すのが大変そうだ



ふらふらと辺りを見回しているAに、【はなれないで】とだしかけた手は宙を舞い、ポケットなかで握りしめるはめとなった



僕の意気地なし…




「天、金魚すくいしよう!金魚すくい!」



Aは袖をまくって、張り切っている



「よーし、いっぱい獲るぞ」


もう少しで獲れるところまではいくが、最後の最後で金魚に逃げられていた



Aは夢中になり、まくっていた袖もずり落ち、水で濡れてしまった





Continue …

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作者名:ひな x他1人 | 作成日時:2018年5月1日 0時

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