恋の欲張りセット【アイナナ】 (ページ19)

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set 7 初恋の絵本【七瀬陸】ページ19

ひらひらと舞い落ちる桜の花びら

そう、貴方と出会ったあの日もこんな感じだったかな

例年よりも、長く咲いていた桜

もう何年前の春だっけ？

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まさか、入学式当日に入院するなんて…

はぁ…つくづく運悪いなわたし

昔から体が弱い私は、あまり学校には行けなかった

でも成長するにつれ、体調も良くなったから、高校生活は楽しめると思っていたのに…

なんと約1ヶ月の遅れをとってしまった

ぎこちない足で、廊下を歩く

私にとってははじめての学校で、地理感覚は持ち合わせておらず、ウロウロとしていた

『(どうしよ…学校迷路～…辿り着けないい)』

生徒に聞けばいいものの、コミュ力がないので、一人で周りをキョロキョロとしていた

そのせいで、人とぶつかってしまった

『わっご、ごめんなさい』

「あ、すいません！」

赤色の髪、大きな瞳、なんとも元気ハツラツそうな人だ

それに、漫画から出てきたようなカッコイイ人だなと思った

「あの、もしかして1年生？よかったら、教室教えてもらえる？」

『1年、なんですけど、あいにく私今日はじめて学校に来たもので…』

あはは、と私は苦笑する

「そうなの！？俺もはじめてなんだ。教室行こうと思ったら、迷っちゃって」

恥ずかしそうに頭をかくその人は、男の子だけどちょっと可愛いと思ってしまった

「じゃあ、一緒に行こう！あ、俺七瀬陸！君は？」

あとで知ったことだけど、七瀬くんも私と同じ時期に入院していたらしい

小さい頃から体が弱い私には、なんだか親近感を覚えずにはいられなかった

クラスに馴染めるか不安だったけれど、良い人ばかりで友達は何人かできた

はぁ、よかったー、と安心していたが、1ヶ月学校を休んでいたのだ

その間にもちろん授業は進んでいる

休んでいた部分を取り返すため、補習をすることが決まった

放課後になると、指定された教室に足を向けなければならない

みんな、部活やらバイトやらしてる間に、補習なんて…気が乗らないなぁ

「あれ？どうしたの？君も補習？」

カバンをもって同じ教室に入ろうとする人が一人いた

『な、七瀬くん！？』

少し考えればわかることだった

同じように1ヶ月休んでいた七瀬くんも補習があるなんて予想できることだ

「あはは、驚きすぎ。てか、陸でいいよ」

ニコッと笑う彼は、やはりカッコよくて、一瞬見とれてしまった