蝶屋敷の食事係の私と霞柱の間に子供ができた件。弐【時透無一郎】

捌ノ話 #後押し ページ9

無｢…美月、ありがとう。


………僕達の赤ん坊が僕を後押ししてくれたってことだよね…？｣




…？何の事？


後押し…？



天｢…？｣


私が目を点にして驚いていると、



今度は無一郎さんが優しく私の手を取って言った。





無｢…僕は、もうすぐ18歳になる。

…そうしたら…


僕と、結婚してくれませんか？




これは、赤ん坊が出来たからじゃないよ？


僕が美月を愛してるから。




僕が2人とも幸せにする。｣





天｢……！…はいっ………！

勿論です…ッ！｣



私は世界で1番の幸せ者だ。


…こんなに幸せな日は無かった。




愛する人の子供を授かり、


連続して愛する人が家族になってくれる。









…しかし、私には一抹の不安があった。




両親に愛されなかった私は、


子供の愛し方なんて知らない。




…ちゃんと、この子を愛してあげられるのかな。



幸せにしてあげられるのかな。






そこで無一郎さんが私に声を掛けてくれた。


やはりこの不安が、表情に出てしまっていたらしい。




無｢美月…？どうしたの？


…嫌だった？｣



…？嫌なわけない。


ほんの少し不安なだけ…。






天｢ううん、ほんとに嬉しいです…。


でも、少し心配で。｣




無｢…心配……？｣



聞き返してくる無一郎さんは、どこか不思議そうな顔をしていた。



天｢…私、両親に愛されなかったじゃないですか…？

だから、私は子供の愛し方を知らないんです。


ちゃんとこの子を、愛してあげられるのかなって…｣


私の答えを聞くと、


無一郎さんは少し笑い、




無｢…なんだ、そんなことか｣ｱﾊﾊ



と言う。



天｢そんなことって！｣




無｢…大丈夫だよ…？


美月は今知らなくても、必ずわかる時がくる。


僕が傍にいるから。



愛情って、自然と湧いてくるものなんだよ…？

僕が美月を好きになったみたいにね｣




…やっぱり、貴方はずるい。



思ったことを簡単に言葉に出来る、




私には無い力。


天｢…ありがとうございます、


ごめんなさい、考え過ぎましたね。｣






…私も、愛してます。

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